筋肉の形成時に細胞間の融合を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
09J05290
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Morphology/Structure
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
砂留 一範 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | シグナル伝達 / 転写因子 / 細胞分化 / 分化 / 転写 |
Research Abstract |
筋肉は発生や再生過程において、単核の前駆細胞が分化を通じて互いに融合し、多核細胞になる事によって形成される。筋分化は、分化の最終調節因子であるMyoDファミリーや下流のマーカー遺伝子などが明らかになっており、細胞が分化を通じてどのように遺伝子発現を調節するか調べる事に、非常に有用な系である。私はこれまでの研究において、MAPキナーゼ(MAPK)経路の一つであるERK5経路が、Klf、Sp1ファミリーを介して、分化において細胞間の融合を特異的に制御する事を明らかにした。マウス筋芽細胞C2C12においてERK5経路は分化誘導後に活性化した。ERK5の活性を、その上流因子であるMEK5の優勢阻害型を過剰発現する事により阻害すると、融合は顕著に抑制され、一方恒常的活性型のMEK5を過剰発現させると、融合は促進された。さらに、マウス前脛骨筋に筋肉のダメージを誘導するカルジオトキシンを注射し、その再生過程においてU0126を投与する事によりERKの活性を抑制すると、筋肉の再生が阻害された。次に我々はマイクロアレイを用いて、分化過程においてERK5により発現の制御を受ける遺伝子189個を同定した。これらの遺伝子群の中にはMyoD、MEF2ファミリーや、それらの下流にある分化のマーカー遺伝子は含まれていなかった。一方で、189遺伝子のプロモーター領域には、Klfファミリー、そしてSp1ファミリーの結合配列が非常に高い頻度で存在した。189個の遺伝子の中にはKlfファミリーに属するKlf2とKlf4が含まれていた。siRNAによる阻害実験により、sp1並びにKlf2/4は細胞融合に必要であるという事が示された。また、Sp1の発現を阻害するとKlf2/4の発現が抑制される事、さらにはChIPアッセイの結果から、Sp1はKlf2/4の発現を直接制御する事が分かった。また、Sp1結合配列を用いたレポーターアッセイの結果から、ERK5がSp1の活性を促進する事が示唆された。このように本研究では、筋肉の形成過程における細胞間融合に特異的なシグナル伝達経路として、新たにERK5/Sp1/Klf経路を同定した。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)