時間依存密度汎関数法を用いた非断熱遷移を伴う化学反応の第一原理シミュレーション
Project/Area Number | 09J05478 |
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
数理物理・物性基礎(理論)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
平井 宏俊 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2009 – 2010
|
Project Status |
Completed(Fiscal Year 2010)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost : ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010 : ¥700,000 (Direct Cost : ¥700,000)
Fiscal Year 2009 : ¥700,000 (Direct Cost : ¥700,000)
|
Keywords | 時間依存密度汎関数法 / 非断熱遷移 / 電子励起 / 分子動力学 |
Research Abstract |
高効率な光触媒の開発は、重要な課題の1つであるが、光触媒反応には未知の部分が多く、いまだ統一的な理解には至っていない。本研究では、代表的な光触媒材料である酸化チタン表面での水分子の光分解をターゲットとし、第一原理計算によって反応のメカニズムを解き明かすことを目標とした。本研究ではクラスターモデルを用いて、励起状態ポテンシャル面上における最小エネルギー経路を計算し、水の光分解のプロセスを解析した。電子的な基底状態における最小エネルギー経路と比べた結果、活性化エネルギーは励起状態におけるもののほうが小さいことから光触媒効果を確認することができた。また、基底状態では分子状吸着状態が、励起状態では乖離状態が最安定であることがわかった。さらに、励起状態における緩和のあと非断熱遷移によって基底状態に緩和することが分かった。基底状態に緩和後は、分子状吸着状態にも乖離状態にも活性化エネルギーゼロでいけることも分かった。このことは触媒作用の効率を下げている原因になっている可能性がある。 また、同様の手法を用いてn型シリコン中の水素原子の非断熱量子拡散の問題に取り組んだ。本研究ではシリコンをクラスターで近似し、BCサイトからTサイトへの拡散経路に沿って計算を行った。その結果、断熱ポテンシャル面が擬交差しており、そこでの非断熱係数が特に大きくなっていることを確認することができた。基底状態においては、擬交差点の前後で荷電状態が中性から-1価に変化する。すなわちこの系はBourgoin-Corbett機構で非断熱量子拡散する典型的なものであることがわかった。次に得られた断熱ポテンシャル面と非断熱結合係数に基づき核波束の動力学計算を行った。その結果、非断熱効果は拡散を抑制する方向に働くことなどがわかった。本計算では、比較的よく調べられているn型シリコン中の水素拡散の問題に適用して、その描像に少し迫ることに成功した。
|
Report
(2results)
Research Products
(6results)