Research Abstract |
近年,フルハイビジョンテレビ,HDディジタルビデオカメラなどのデバイスの開発・普及,さらにはデジタル放送の開始,インターネット上での大容量動画像配信などにより,高画質化した映像が我々の生活に深く浸透してきている.これに伴い,汎用性のある動画質評価法の構築は非常に重要な研究課題となっている.特に動画質評価において視覚系の時空間周波数特性である空間速度コントラスト感度関数(Saptio-velocity contrast sensitivity function, SV-CSF)が有効であるとされてきたが,現在までSV-CSFはカラー動き刺激を用いた測定・モデル化が行われていなかった.そこで本研究ではカラー動き刺激に対するSV-CSFの測定・モデル化,及びその動画質評価法への応用を行った. SV-CSFの測定・モデル化に関する研究では,カラー動刺激として反対色である赤-緑,青-黄刺激を用いた主観評価実験を行った.測定結果として,空間周波数が1cyc/deg以上のとき,刺激速度が速くなるにつれコントラスト感度が低下する傾向が見られた.本研究ではこの測定データをもとに,ガウス関数を基本としたカラー動刺激に対するSV-CSFのモデル化を行った.このSV-CSFモデルは画像に関する研究分野の基礎となる視覚モデルであり,今後,動画像の画質改善法・評価法などへの応用性の高い研究だと考えられる. SV-CSFの動画質評価法への応用に関する研究では従来ほとんど考えられていなかった,動画像内の物体速度を評価法に取り入れ,動画質に関する物理評価値を算出する手法を提案した.また,提案手法は従来手法に比べ,動画質評価に有効な手法であることも確認した.提案手法である動画像評価法は今後,通信・放送分野における圧縮された動画像の品質評価へ応用されることが期待される.
|