肝細胞癌特有の進行メカニズムに基づく創薬研究の展開
Project/Area Number | 09J06020 |
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Medical pharmacy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
稲垣 善則 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed(Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost : ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010 : ¥700,000 (Direct Cost : ¥700,000)
Fiscal Year 2009 : ¥700,000 (Direct Cost : ¥700,000)
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Keywords | 肝細胞癌 / DCP / 臨床病理 / 浸潤 / 転移 / c-Met / 創薬 / アミノペプチダーゼ / 血管新生 |
Research Abstract |
本研究では、肝細胞癌(以下、HCC)の腫瘍マーカーとして現在広く利用されている異常プロトロンビン(以下、DCP)の高発現がHCC患者の予後や病態の悪化と有意に相関する臨床医学的背景に着目し、当該分子がHCCの病態に対して及ぼす生物学的効果を明らかにすると共に、その効果を阻害できる物質を探索することによりHCCに対して特異性の高い化学療法剤の創出を試みてきた。当該年度においては、DCPによって活性化され、細胞増殖の誘導に寄与する受容体であるc-Metに着目し、その阻害剤SU11274によってDCPがもつ機能を抑制できるか検討した。その結果、SU11274は種々の肝癌細胞の増殖を抑制する事を示したほか、当該化合物の存在下ではDCPによって誘導される細胞増殖の活性化効果が打ち消される事をin vitroでの解析によって見出した。従って、c-Metの活性化を阻害する化合物は、肝癌細胞の増殖抑制をもたらす化学療法剤候補として有用であることが示唆された。また、最新の研究成果により、DCPの高発現は肝癌細胞の増殖だけでなく、癌の転移における重要な現象の一つである浸潤を活性化することがin vitroの実験系で示された。当該現象に関するメカニズムを詳細に解析する事によって肝癌細胞の増殖に加えて浸潤を阻害できれば、HCCの病態の悪化や再発を抑制する化学療法戦略を構築できると考えられた。一方、臨床病理学的研究では、組織中のDCPの高発現及び血清中のDCP値の上昇が検出されたHCC患者群は、陰性の患者群に比べて5年生存率が有意に低い事が明らかとなり、DCPの組織発現性と血清レベルを組み合わせた因子は肝内転移と共に独立予後因子となった。以上より、DCPによって誘導されHCCの病態の悪化に関連する機構を阻害することは、予後が悪いHCC患者に対する化学療法において有効である事が示唆された。
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Report
(2results)
Research Products
(10results)