Project/Area Number |
09J06233
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 元秀 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 数理モデル / ゲーム理論 / X染色体 / 遺伝子 / 血縁選択 / おばあさん仮説 / 人類学 / 進化心理学 / シミュレーション / 人口学 |
Research Abstract |
ヒト女性が自らの妊性にコストを払って長寿化し、孫の生存力上昇に貢献(利他行動)する場合、対象となるのは、息子方孫よりも血縁関係が確かな娘方孫であると言われてきた。だが上記は利他行動遺伝子が常染色体上にある場合の話であり、それがX染色体上にある場合には、血縁の不確かさを考慮しても、息子方女孫への利他行動が最も進化しやすいことが期待される。実際に人口史料および現代狩猟採集民で統計をとると、多くの集団で、父方祖母が近傍にいる女児の生存力がそうでない幼児(特に同状況の男児)と比べて有意に高かった。ただしこのような対象特異的孫育児の進化は、後繁殖メスの近傍に特定の孫がいるかどうか、つまり家族形態(父系家族か母系家族か)の決定機構の進化と共に考察されるべきである。そこで本研究では,利他行動と家族形態決定機構に同時に影響する「祖母化遺伝子」が常染色体上とX染色体上の双方に存在する状況をモデル化した。常染色体上の祖母化遺伝子は母系家族を、X染色体上の祖母化遺伝子は父系家族を構成させやすいと前提し、【A】利他行動の提供者である後繁殖メスが家族形態を選択する場合と【B】利他行動の間接的な受益者である繁殖世代個体が家族形態を選択する場合を、それぞれ解析した。結果、AとBに共通して、一方の染色体上の祖母化遺伝子が、他方の染色体上の祖母化遺伝子の進化を阻害するパラメーター領域が発見された。さらにAの場合は、両染色体上に祖母化遺伝子を有するメスの行動に関する仮定(常染色体/X染色体上遺伝子の血縁度は息子方孫/娘方孫に対してもゼロでないので、最適でない家族形態下でも利他行動が発現するかもしれない)次第で、一方が他方の利他行動の利益に便乗して、単体では進化できないパラメーター領域でも進化しうること、かつ、常染色体上の祖母化遺伝子によるX染色体上の祖母化遺伝子への便乗の方がより尤もらしいことが、示唆された。
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