生物起源炭酸塩の微小領域元素分布による新たな視点からの古環境・古生態復元
Project/Area Number |
09J06775
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Stratigraphy/Paleontology
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 厚太朗 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2009 – 2010
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 生物起源炭酸塩 / 二枚貝 / サンゴ / 微量元素 / 同位体比 / 局所分析 / 国際研究者交流(ドイツ) / 古環境復元 / 浮遊性有孔虫 / 二枚貝殻 / 安定同位体 / NanoSIMS |
Research Abstract |
二枚貝殻を用いた古環境復元で最も多く用いられている長寿二枚貝Arctica islandicaの局所微量元素分析を行った.その結果から,Arctica islandicaの微量元素分布は殻中の有機物濃度と結晶構造によって決まることを明らかにした.従来の微量元素取り込みメカニズムに関する研究では,外部環境の影響だけでなく成長速度や母液の組成変化に影響を受けると指摘されていたが,今回の分析から成長様式の変化に由来する有機物濃度の変化や,種によって固有の殻構造に強く影響を受けていることが明らかになった.また,東京湾から採取されたムラサキイガイ(Mytilus)殻に関しても微量元素の分布は殻中の有機物濃度と結晶構造に起因している事が明らかになった.Arctica islandicaの殻はアラゴナイトであり,Mytilusはカルサイトで異なる結晶構造を持つが,両者ともに同様の微量元素変動メカニズムを持っており,生物石灰か作用および結晶形成時の物理化学的反応が大きく元素組成に影響を与える事を示している.ストロンチウム高濃度海水を用いたサンゴ骨格高時間解像度マーキングの実験に関しては,サンゴ骨格の微細骨格構造にみられる成長縞が昼に形成され,成長線が夜に形成されるという,微細骨格構造形成の日周サイクルがあることが明らかになった.これはサンゴの共生藻類の光合成によって石灰化が促進されるというモデルと調和的であり,初めてサンゴの日輪を明らかにしたものである.この結果は,従来では週程度の時間解像度で古環境復元が行われてきたサンゴ骨格において,微細骨格構造を丁寧に観察する事で時間解像度を数時間のスケールまで高められる可能性を示している.
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)