Project/Area Number |
09J06950
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Astronomy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 雄大 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ブラックホール / X線観測 |
Research Abstract |
我々は、代表的なディスクライン天体であるMCG-6-30-15に焦点を絞り、ディスクライン構造の検証を行った。ディスクラインの構造に迫るためには連続成分のモデルを正しく評価することが不可欠である。本研究の目的は、モデル依存しないアプローチから高エネルギー範囲にわたるスペクトル変化を明らかにした上で、そのスペクトル変化をできるだけ少ないパラメーターの変化で説明できる連続成分の物理的モデルを見つけ、それを用いてディスクラインの必然性に迫ることである。これを達成するために、我々は、鉄エネルギー付近における高いエネルギー分解能と40keVまで感度をもつ「すざく」衛星を用いて、データ解析を行った。加えて、X線回折格子によって「すざく」よりも高いエネルギー分解能をもつChandra衛星を用いてスペクトル吸収線構造を調べた。このように、様々なX線天文衛星の特徴を最大限に生かして研究を行った。 「すざく」衛星で2006年1月に観測された露光時間約339ksecのデータを用いて、スペクトルハードネス(6-10keVと0.5-3keVのカウントレートの比)とX線強度(6-10keVのカウントレート)の関係を調べた。なお、0.5-3keVは電離吸収の影響が強い帯域である。その結果、10keV以下で明るくなるほど、スペクトルがソフトになることを明らかにした。次に、Chandra衛星で2004年の5月に観測された露光時間約522ksecのデータ解析を行った結果、X線強度に応じてMgとSiの吸収線の等価幅が変化していることを明らかにした。このことから、10keV以下のスペクトル変動は主に電離吸収体の吸収量の変化によるものであることを示した。 我々は、Chandra/HETGSのデータを解析することでBH遠方からの鉄輝線の等価幅を20eV程度と評価し、既に報告されていたYoung et al.(2005)の結果を確認した。その上で、George and Fabian(1991)の結果を踏まえて、等価幅20eVの鉄輝線から期待される0.6π程度の立体角を持つ反射体を導入した。それだけでは10keV以上で卓越するスペクトル成分を説明できないため、電離した物質による強い吸収を起こす成分(N_H~10^<24>cm^<-2>)を仮定したモデルを考えた。このモデルを用いて「すざく」衛星とChandra衛星のスペクトルについて解析を行った結果、極端に広がった鉄輝線(いわゆるディスクラインモデル)を入れなくても、エネルギースペクトルを良く説明できることが分かった。このモデルを様々なタイムスケールでの明るい状態のスペクトルと暗い状態のスペクトル、および強度毎にスライスしたスペクトルについて当てはめたところ、観測されたすべてのスペクトル変化を、power-lawの直接成分の強度と強い吸収を受けた成分の強度、低電離吸収体の電離度の3つのパラメーターの変化だけで説明できることを明らかにした。また、この時、直接成分の強度と吸収成分の強度の間に強い逆相関があることを発見した。この逆相関関係は、中心からのX線が電離した物質により部分吸収されていることを強く示唆している。その一方で、power-lawの直接成分の強度と電離度にははっきりと相関関係が見られた。これらの結果を踏まえて、我々は、MCG-6-30-15のX線スペクトル変化は、広がったX線源の視線上で遮断する光電離された吸収ガスによって主に生じているという"absorbing cloud envelope"モデルを提案する。以上より、我々は、ディスクライン天体として有名なセイファート1型銀河MCG-6-30-15のデータ解析を行い、様々な時間スケールにおけるスペクトル変化を説明するモデルを構築し、ディスクライン構造に迫った。その結果、極端に幅の広がったディスクラインを導入しなくても、観測されたスペクトルの形状とその変化を自然に説明できることができた。
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