無限層銅酸化物ヘテロ界面における光誘起キャリア注入と電子物性制御
Project/Area Number |
09J07269
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Mathematical physics/Fundamental condensed matter physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉置 亮 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 無限層銅酸化物 / ヘテロ界面 / 超高速分光 / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
研究の計画段階においては、銅酸化物ヘテロ界面について広範な時分割スペクトル測定を行い、物理的な解釈も含めて超短パルス光を用いた電子物性制御について検討を行う予定だったが、東日本大震災後の節電の影響もあり、製膜条件の更なる最適化を行うことができず、予定していた試料の作製が困難となった。そのため、これまで実績のあったマンガン酸化物薄膜を作製し、基板界面及び歪みの効果について主に非線形光学を用いて対称性の議論を行った。まず、前年度までに作製した銅酸化物ヘテロ構造について時間分解非線形分光を用いて、より詳細に界面における分極のダイナミクスの測定及びその解釈を行った。 その結果ヘテロ界面を介して、サブピコ秒の寿命を持つCuサイトあたり0.01個程度の光誘起キャリア注入を確認した。光誘起超伝導などの電子物性制御の実現には、より相境界に近い試料作製が必要であることが示唆された。また、電荷軌道秩序を示すNd_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3薄膜において、前年度観測された「隠れた」定常光誘起相についてラマン散乱測定を行った。光スペクトルの解釈と合わせて、電荷不均化及び軌道整列が弱まった状態になっていることを明らかにした。さらに、当初予定になかった典型的な強磁性金属であるLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3薄膜を(210)基板上に作製することで、室温において強磁性かつ金属でありながら分極を持つ相が確認された。非線形光学を用いた詳細な偏光解析測定の結果、表面及び薄膜内部の分極の方向を同定した。これは、分極を持つ強磁性金属の最初の例であり、本研究で得られた知見をもとにこの時間・空間反転対称性の破れた状態が輸送現象に与える影響が今後の詳細な測定により明らかになれば、固体物理学において大きなインパクトを与える研究となることが期待される。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)