Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
磁性ガーネット膜を誘電体ミラーで挟んだ構造をもつ,ナノ磁性フォトニック結晶は,可視光領域で,高い透過率と大きな磁気光学効果をもつ.さらに,先の研究より,質量を持たないスピンを制御し,偏光角を制御することが可能なことから,数十ナノ秒の高速光スイッチが実験的に示された.これら,ナノ磁性フォトニック結晶の特徴は,手のひらサイズのマイクロチップQスイッチレーザ内で重要な役割を果たすQスイッチとして利点が多いと考え応用研究を行っている.昨年度までの理論的,及び実験的な研究で高い性能をもつことが明らかになった誘電体ミラー内に2つの欠陥層をもつ光学媒体(デュアルキャビティー構造)の形成を行った.昨年度,デュアルキャビティ構造の形成を,直接接着法を用いて行うことを検討したが,目的の値にまで達しなかった.本年度は,形成方法の改善を試みた.まず,具体的な特性劣化の原因を突き止めた.1)膜表面の粗さ,2)膜厚分布,3)膜の歪み,が原因と分かった.磁性ガーネット膜の結晶化に必要な熱処理温度を700度程度まで抑えることで,膜表面の粗さを改善した.膜厚分布は,成膜時の基板とターゲット間隔を広げることで解決した.膜の歪みは,基板の成膜面とは逆側に歪みを相殺する層を形成することで解決した.これらの解決法を用いてデュアルキャビティ膜を直接接着法によって形成した.この結果,全てスパッタ法で形成した試料と比べて,透過率は約3倍,磁気光学効果の大きさは約4倍まで増大することに成功した.マトリクスアプローチ法を用いた,試料の光学解析を行ったところ,試料に垂直入射した光は殆ど均等に2つの欠陥層に強く局在し,建設的な位相干渉を生じさせた結果,磁気光学効果が増大したことが分かった.一方,このナノ磁性フォトニック結晶を含んだ,Qスイッチレーザ光学系を構築した結果,磁気光学効果の大きさに応じた,レーザ発振の制御が確認できた.これらの結果から,ナノ磁性フォトニック結晶を用いて小型化された磁気光学効果駆動型のマイクロチップQスイッチレーザの開発が強く期待される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁性フォトニック結晶をデュアルキャビティ化することで,大きな特性改善を行った点と,磁性フォトニック結晶とマイクロチップレーザを組み合わせたスイッチング動作の確認に至った点から,概ね順調に進展していると言える.実用に向けて,熱による耐力評価等の残された問題の解決が必要と考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
磁性フォトニック結晶のデュアルキャビティによる特性向上とマイクロチップレーザとの合体化により,Qスイッチの開発に一定の進展があったが,目指している実用的な手のひらサイズのマイクロチップQスイッチレーザの開発のためには残された問題がある.具体的には,デバイス全体の設計,耐力評価,出力の向上等が挙げられる.対応策は,光学系と駆動回路の小型化,放熱機構を勘案した高耐力性の磁性フォトニック結晶Qスイッチの開発,及び,Qスイッチ速度の高速化を行うことによりパルス尖頭値を増大することでQスイッチレーザの出力の向上が考えられる.
|