自己負罪禁止の研究 -ドイツ法のNemo tenetur原理を手がかりに-
Project/Area Number |
09J07921
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Criminal law
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松倉 治代 立命館大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | ドイツ:フランス:日本 / 刑事訴訟法 / 自己負罪拒否特権 / 黙秘権 / 供述拒絶 / Nemo tenetur / 歴史 / 根拠論 / 自己負罪拒否 / イギリス:ドイツ / 刑事訴訟法制定過程 / Horfalle / 量刑理由としての否認や黙秘 |
Research Abstract |
わが国の刑事訴訟法学は、自己負罪拒否(刑事手続関係者が自己に不利な供述を強制されず、自己に不利益な証拠になる必要はない。)や黙秘権の本質およびその効果に関する研究を発展させてきた。しかし、わが国の捜査実務において、被疑者に対して取調受忍義務が課され、長期の身体拘束や取調べが行われ、自己負罪拒否や黙秘権が「現実に」保障されていない、と問題視するものも多い。これまでの研究は、自己負罪拒否の根拠を詳細に扱っておらず、ドイツにおける自己負罪拒否の比較法的先行研究もほとんどなされていない。また、わが国における本分野の史的研究も不十分である。この問題意識に対して、申請者は、ドイツ法のNemo tenetur prodere seipsum(何人も自己を告発する義務はない。)という、ローマ法・カノン法上の原則に由来する、「何人も自身に対して刑事手続を開始、あるいは積極的に自身の罪状立証に協力するように義務づけられない」という近代ドイツで急速に発展している自己負罪拒否の原則を手がかりに研究を行う。申請者の研究目的は、ドイツにおけるNemo tenetur原則の歴史的展開と根拠論を研究し、わが国における自己負罪拒否原則を明らかにし、示唆を得ることである。さらに、それをもとにNemo tenetur原則の各論として、犯行後態度、Horfalle(だましぎきによる聴取)、催吐剤を扱い、わが国における将来の自己負罪拒否のあり方を研究する。本研究の意義は、自己負罪拒否の本質を、これまでわが国で詳細に研究されてこなかったドイツ刑事訴訟法におけるNemo tenetur原則を手がかりとして分析する点である。 申請者は、大きく分けて第一編Nemo teneturr原則の歴史的展開、第2編Nemo tenetur原則の理論的検討、第三編Nemo tenetuyr原則の具体的適用場面の3編に分けて、論文を執筆している。2010年度は、各編の相互関連性を意識しつつ研究を進め、Nemo tenetur原則の歴史的展開に関する論文の執筆を終え、次号本学紀要に掲載する。第二編、第三編も執筆をつづけており、順次本学紀要に掲載することとしている。これらをとりまとめ、2011年博士学位申請を行うことを企図している。なお、本研究の成果を、刑法読書会(刑事法の外書・研究報告に関する研究会)にて報告し、当研究会において刑事法の諸先生より御指導及び議論を頂いた。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)