Project/Area Number |
09J08340
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
森林科学
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小坂井 千夏 東京農工大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員DC2
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | ツキナワグマ / 堅果 / GPSテレメトリー / 行動圏利用 / 出没 / 野生動物 / 活動量配分 / ツキノワグマ |
Research Abstract |
1.ツキノワグマの人里への出没が問題となっており、特にブナ科堅果類の不作が要因として挙げられるが、堅果の不作が、具体的にどのようにクマの行動を変化させているのかは不明であった。そこで、堅果の豊作年と不作年間で、クマの生息地利用様式の比較を行った。 2.(1)堅果の豊凶に加え、生息地におけるブナ科樹木の空間分布の特徴と行動との関係を調べところ、不作年には限られた狭いエリアのみを利用し、このエリア間の距離が拡大することで行動圏面積の拡大が起こっていた。これは、最優占種であるミズナラ堅果の結実は個体間の同調性が低く、不作年でも僅かならば結実している林分パッチが分散していたこと、ミズナラの替わりに利用されたコナラやクリが夏期に利用する地域よりも低標高地域に多かったことと関連すると考えられた。(2)堅果の豊凶が採食などの活動に費やす時間に与える影響について調べたところ、毎年8月下旬~10月は、堅果豊凶やクマの性別、子の有無を問わず、1年間で最も活動を活発化させていく時期であることが分かった。一方で10月以降は、その年の豊凶や性別に応じて冬眠までの活動時間を柔軟に変化させていると考えられた。 3.以上より、ツキノワグマの出没に結びつく堅果不作年の行動メカニズムの一端を明らかにできた。ランドスケープレベルで堅果類や代替食物となる資源(人間由来の食物を含む)の空間分布の特徴を把握し、生息地管理を行うことが軋櫟解消のために重要であることが示唆された。また、(2)の成果は、1年を通して活動量の経時的な変動を明らかにした初めての研究であり、さらに性別による行動の違いを考慮することで、より良い生態の理解に繋がることを示した。本研究は日本のツキノワグマの生息地利用研究にとってブレークスルーとなり、これらの生態学的知見は、人間との軋櫟発生メカニズムの解明や保護管理上の対策案の提示に重要な役割を果たした。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)