Project/Area Number |
09J08453
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田中 壮泰 立命館大学, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ポーランド文学 / 比較文学 / イディッシュ文学 / ドイツ文学 / モダニズム / アバンギャルド / 複数言語使用 / ユダヤ / 文化 / サブカルチャー / 介護 / 福祉 / 労働 / 精神分析 / ポーランド / ジプシー / 戦間期 / 第一次世界大戦 |
Research Abstract |
本研究は、ブルーノ・シュルツの作品を同時代の文化史と結びつけ、他の作家との比較を通じてその独自性を考察するものである。とりわけ、シュルツが同化ユダヤ人であった事実を重視し、それを以下の二点から考察し、その成果をそれぞれ論文や学会などで発表してきた。 第一に「複数言語使用者」であること。シュルツに限らず当時のポーランドにおいて、教育を受けたユダヤ人の多くは、かつての宗主国(ロシアやオーストリア)の言語と、別の言語(ポーランド語、イディッシュ語、ヘブライ語など)を身につけていた。したがってシュルツの作品には少なくとも三カ国以上の文化的背景を読み取る必要がある。交付申請書での「研究の目的」はポーランド語文化に偏ったものだったが、これまでドイツ語やイディッシュ語等、より広い文化的背景を作品に読み込む作業を行ってきた。そうすることでシュルツ研究はもとより、これまでの東欧ユダヤ文学研究であまり論じられてこなかったポリグロットな文学空間を、東欧文学を語る上で、新たな視野として導入することができた。 第二に「アウトサイダー」であること。ここでは作品の文化的背景として、ユダヤ的な文脈に限らず、広くジプシーの巡業楽士や行商人、家庭の女中など、大文字の歴史に記述されることのない「民衆」の文化に注目した。彼らの多くは移動を生業とし、土地や家庭において「余所者」として位置づけられた存在である。本研究のタイトルにある「サブカルチャー」とはシュルツが用いた用語だが、それは、このような越境者たちを介して複数言語が錯綜するなかで形成された文化として考えることができる。本研究はシュルツと関わりのある作家として、ポーランド語作家ユリアン・トゥーヴィム、ドイツ語作家フランツ・カフカ、イディッシュ語作家デボラ・フォーゲルを比較対象に据えたが、いずれも同様に、移動者たちの文化を重視した作家である。これらの作家との比較を通じて、これまでポーランド文学研究に閉ざされがちであったシュルツ研究を同時代のユダヤ文学やドイツ文学のみならず、民衆文化史の視座も導入し、学際的な研究として提示することができた。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)