Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
前年度に実施した化学分析とバイオアッセイによる統合評価手法の結果、アジア沿岸域に海洋起源と考えられる臭素化ダイオキシンが存在する可能性が示された。この仮説を実証するため、平成22年度には、アジア沿岸域のイガイを対象とした臭素化ダイオキシンの化学分析を試みた。分析の結果、全ての検体から比較的高濃度の低臭素化ダイオキシン(1-4臭素化体のPBDD/DFs)が検出された。5臭素化体以上のPBDD/DFsはいずれの検体からも検出されなかった。とくにT3BDDs(137-, 138-TriBDD)の濃度が高く、その同属体パターンからイガイに蓄積する臭素化ダイオキシンの大半は海洋起源であることが示唆された。さらに、イガイから高濃度で検出された海洋起源の臭素化ダイオキシン、137-、138-TriBDDのダイオキシン様活性を評価するため、137-および138-TriBDDの標準試料を入手後、多段階希釈溶液を作成し、DR-CALUXアッセイを用いたそのダイオキシン様活性の評価を実施した。その結果、137-、138-TriBDDいずれの臭素化ダイオキシン異性体に関しても比較的高いダイオキシン様活性を有することが判明し、海洋起源の低臭素化ダイオキシン類が未知のAh受容体(AhR)アゴニストの一つであることが示された。本研究により、アジア沿岸域には人為起源のみならず海洋起源の臭素化ダイオキシンが存在し、それらがダイオキシン様活性を示すことが判明した。これら化合物の残留量、分布、DR-CALUX活性に関する本研究の成果は、魚介類摂取を通したダイオキシン様活性物質のヒト曝露リスクを評価する有用な基礎情報を提供した。
All 2010 2009
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (14 results)
Organohalogen Compounds
Volume: 72 Pages: 872-875
Environmental Science and Technology
Volume: 44 Pages: 8330-8336
Organohalogen Compounds 71
Pages: 1802-1807