Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本年度は,聴覚的クラスターの抽出・再構成に関わる生理学的な知見の取得・体系化と,神経ネットワークモデルの構築による数理モデルの提案,を実現するために,発展的な神経活動計測手法の開発と,実際に得られた神経データに基づく機能的ネットワークモデルの構築を行った.具体的には,覚醒下のラット聴覚野から局所電場電位や発火電位を多点同時計測する実験系を構築した.そして,音脈を誘発する音系列に対する,神経集団の協調的な活動パターンを抽出し,それとヒトで知られる心理物理学的挙動との関係を調べた.音脈が分かれて聴こえる条件ほど,分凝音脈の周波数に選択的な神経集団同士が,より同期的に活動する傾向にあった.さらに,そのような条件では,局所電場電位にもとづく振動活動の特定の位相で,神経細胞の発火活動が生じやすいことが分かった.このことは,音脈が分かれて聴こえる条件ほど,そうでない条件にくらべ,神経集団の同期活動が音に微調整するようになり,また,音刺激に対する神経活動の出力が,より高い時間精度と周期性をもつことを意味する.前年度までは,麻酔下の神経活動計測による音脈分凝との神経相関を評価してきたが,麻酔は,神経活動を抑制性に修飾する可能性があるため,その神経活動は実際の知覚に関わる活動と少し異なる可能性がある.本年度は,覚醒下で多点同時計測を可能にすることで,実際の音の知覚に関わる神経集団の活動を評価できた点に意義がある.本研究で得られた生理学的知見は,これまでほとんど知られていなかった,神経集団の協調的活動による,音脈の様な複雑な音響刺激の知覚表現の一端を明らかにした点で,重要である.最後に,このような特徴的な神経集団間の同期的活動から機能的ネットワークを構成し,ネットワーク理論における特徴量として,神経活動を評価した.このことで,工学的に応用可能な数理モデルの下地を作り,脳模倣型音識別モデルの枠組みを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験によるデータの取得,それに基づく知の体系化にまで至ったが,数理モデルの構築においては,十分に進んでいるとは言えない.そのようなことから,おおむね研究は進展しているが,完全に計画通りとはいえない.
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