Project/Area Number |
09J09005
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Keio University (2009, 2011) The University of Tokyo (2010) |
Principal Investigator |
森元 良太 慶應義塾大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 進化論 / 確率 / 遺伝的浮動 / 情報理論 / ベイズ主義 / 最大エントロピー原理 / 合理性 / 自然選択 |
Research Abstract |
本研究の目的は、進化論における確率概念の哲学的意義を明らかにし、生命現象の解明に寄与することである。現代の進化論研究では、進化の主要因である自然選択や遺伝的浮動の理論および実証研究が盛んにおこなわれているが、進化モデルにおける確率概念が何を表しているかは明らかになっていない。このような背景のもと、本年度は「なぜ進化論に確率概念が用いられるのか」という問題に取り組んだ。 自然選択と遺伝的浮動の数理モデルを綿密に分析することにより、どちらのモデルも集団レベルの現象の変化を表しており、生物や環境についてのすべての情報を含んでいなくても不完全ではない、ということを明らかにした。進化論に確率概念が用いられているのは、集団レベルの現象を説明するためである。部分と全体が異なるように、個体と集団では異なる特徴を示す。生物集団は実際に集団の分離や別の集団との融合を繰り返す。こうした集団レベルの変化は、個体の変化のみを積み重ねても説明しきれない。物理理論に基づく伝統的な世界観は、木を見て森を見ないようなものである。進化論では集団に共通する情報のみを抽出することが重要で、それにより集団レベルの変化を一般化できる。 また、私は自然選択モデルと遺伝的浮動モデルを情報理論の手法を用いて導出できることを示した。情報理論は手持ちの情報を合理的に活用するための理論であり、私の成果は進化論はそうした理論であることを示唆している。情報理論の観点から考察すると、進化論は合理的な理論であることが明らかになる。基礎物理理論を模範とした科学観では、全情報に基づいていなければ不完全なモデルとみなされ、進化論はそのように判断されることになる。だが、進化論の理論構築に全情報は不要であり、全情報に基づかない科学理論は不完全というわけでもない。科学理論が完全か不完全かという二極化は、進化論の特徴を捉え損ねている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果については、おおむね申請書通りに進めることができた。申請書の計画と研究成果報告の時期に多少ずれはあるが、2冊の本の出版や国際学会での発表等、研究成果の報告もできた。博士論文がまだ完成していないことは反省点だが、近日中に完成させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は博士論文を完成させることが第一目標である。それと並行して、学会等で口頭発表した研究成果を論文にまとめる作業をおこなう。また、現在「生物学の哲学」の教科書を執筆中であり、これを書き上げることも目標である。これまで生物学のなかでも進化を中心とした哲学的問題に取り組んできたが、今後は発生学、合成生物学などの分野についても哲学的に考察していきたい。さらに今後の研究として、進化生物学以外の分野における確率・統計をめぐる哲学的問題に取り組む予定である。現在、生物学者および心理学者と研究を進めており、その成果をまとめて発表する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)
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[Presentation] Drift is not a fiction2009
Author(s)
森元良太
Organizer
International Society for History, Philosophy, and Social studies of Biology
Place of Presentation
The University of Queensland, Brisbane, Australia
Year and Date
2009-07-14
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