Project/Area Number |
09J09035
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗本 賀代子 (2010) 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
栗本 賀世子 (2009) The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | うつほ物語 / 源氏物語 / 後宮 / 内裏 / 皇妃 / 殿舎 / 更衣 / 平安京 / 平安文学 |
Research Abstract |
論文「藤壺の系譜」では、『宇津保物語』のあて宮の居所、藤壺について扱う。あて宮が、東宮から寵愛されつつも、臣下の主人公仲忠との恋愛が語られる点、後に息子の皇子の地位を磐石にせんと駆け引きを繰り広げ、将来の母后へと変貌を始める点などは、『源氏物語』の藤壺中宮にも似通う。帝寵も権力も手中にした皇妃が、一方で男主人公と相思相愛である、という設定は、あて宮を発端とし、藤壺という場を媒介に、『源氏物語』の藤壺中宮に受け継がれていくことを明らかにした。また、論文「斎宮女御の梅壼入り」では、『源氏物語』冷泉朝の斎宮女御の居所、梅壺(凝花舎)について論じた。梅壺は、「舎」で弘徽殿等の「殿」より格下とされ、史実でも弱い立場の皇妃に使用される場であった。権力者光源氏に後見された斎宮女御が梅壼に入ったことは不可解だが、実は源氏は彼女の入内には表立って関与していなかった。斎宮女御には、朱雀院が求婚しており、院の意向に逆らい入内を決行することを、源氏は気に病んでいた。兄院を憚り、入内時点では自身が後盾であることを公にせず、表面上は、女御は後見なしのまま後宮に入ったため、内裏での居所が、格下の梅壺とされたことを解明した。論文「殿舎名で呼ばれる更衣たち」では、平安朝の低い身分の皇妃、更衣について考察する。更衣は女御等に比べ、生活で不利な点が多く、居所の点でも、一つの殿舎を占有できず何人かで共同使用しており、そのため、殿舎の主の女御は殿舎名で呼ばれたが、更衣は殿舎名で呼ばれえなかった。本研究員は、史実の例から、制度上の更衣と別に女御以下の皇妃(東宮妃・上皇妃等)に非公式に用いられる通称としての「更衣」があったとし、「更衣」と呼ばれた有力な東宮妃達が一つの殿舎を占有するという事実を背景に、『宇津保物語』『源氏物語』が制度上の更衣と通称としての「更衣」を混同し、殿舎を占有した更衣たちを描き出したと考える。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)