Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
近年、スピンダイナミクスの研究は、スピンのミクロな物性からマクロな物性まで幅広く取り扱うスピントロニクス分野の発展において、もはや必要不可欠となった。平成22年度は、強磁性半導体(Ga,Mn)Asで観測される磁化の才差運動の変調に関する研究を進めた。これまでの研究で、金属/(Ga,Mn)Asにおいて才差運動の減衰係数が増加することを見出したが、Fe/(Ga,Mn)As構造において、外部磁場を印加することにより減衰係数が大きく変化(げΔα_<max>~0.2)することを見出した。単一材料においてこれほど大きく減衰係数が変化した例は本研究成果が世界初である。本研究において非常に興味深い点が2点ある。1点目は、(Ga,Mn)Asの保磁力で減衰係数が最大値をとること。2点目は、低磁場領域(|H|<4000e)では減衰係数が大きく変化するが、高磁場領域|H|>4000e)においては単膜(Ga,Mn)Asの減衰係数と同じ値を持つことである。これは、(Ga,Mn)AsとFeの磁化の相対的な配置が減衰係数の変化に大きく寄与していることを示唆している。単膜Fe層、単膜(Ga,Mn)As層の磁化曲線を比較すると、Fe層の多磁区化が通常のFe単層膜よりも強いことが認められる。 (Ga,Mn)As層からFe層へ輸送された角運動量がFe層の磁壁にエネルギーを与えることにより角運動量の散逸が強められている可能性が挙げられる。本研究成果により、単一多層膜で減衰係数を大きく変調できることが明らかになった。これは、強磁性多層膜におけり新たな磁化の制御法の一つであると考えられる。
|