開いた量子ドット系における共鳴トンネリングの数値的研究
Project/Area Number |
09J09419
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱本 雄治 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | メゾスコピック系 / 量子ドット / 輸送現象 / 動的応答 / 量子相転移 / Tomonaga-Luttinger液体 / 分数量子Hall効果 |
Research Abstract |
量子ドット系は内部の電荷状態を動的に制御することが可能であり、量子コンピュータの基本要素である量子ビットの候補として実用化が期待されている。その際、集積度が向上するにつれて電子間相互作用が無視できなくなる。とくに量子ドットの電荷状態の共鳴点では相互作用が強いときに量子相転移が起き、量子ドット系の伝導特性に重大な影響を及ぼすことが期待される。我々は量子ドット系にGHz帯の交流電場をかけたときに観測される電荷緩和抵抗に注目し、理論的な解析を行った。量子ドット系の動的応答において電荷緩和抵抗が注目される理由は、この量がドットとリードの結合に依らず1チャンネル当りh/2e^2に量子化されるためである。このようなユニバーサルな振る舞いは、初め平均場理論により予言され、近年実験的にも確認された。しかしながら共鳴点では電荷の揺らぎが大きいため、一般に平均場的な描像が破れる。我々は量子ドット系をボソン化法で定式化することにより、平均場理論を超えて、相互作用を厳密に考慮した際の電荷緩和抵抗を計算した。その結果、斥力相互作用が強い領域では、ドット-リード間の結合を弱めていくとあるところでKosterlitz-Thouless転移が起き、電荷緩和抵抗がユニバーサルな量子化値からずれることがわかった。この現象の実験的検証は次のいずれかで可能である。(1)斥力相互作用の強い量子細線やカーボンナノチューブ中に形成した一次元的な量子ドット(2)量子ドット系に強磁場をかけて作った充填率が1/2未満のラフリン状態(3)ドットのゲート電極に伝送線路をつないで量子ノイズを与えた場合。我々の結果は、電子間相互作用や量子ノイズのような多体効果によって、平均場の描像で期待される電荷緩和抵抗の量子化が壊されることを意味している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)