Project/Area Number |
09J09634
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 尚之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | スピン / トンネル効果 / TMR効果 / 酸化物エレクトロニクス / 電子デバイス / 薄膜 / 強磁性体 / スピントロニクス / 磁気抵抗効果 / トンネル現象 / スピンフィルター |
Research Abstract |
本研究では、絶縁層に強磁性体を用いることで、透過電子のスピンの向きを一方に偏らせるスピンフィルターに着目した。スピンフィルターは強磁性絶縁層(FI)の障壁の高さが電子のスピンの向きに依存することを利用しており、スピン注入素子などへの応用が期待される。金属(NM)/強磁性絶縁体(FI)/強磁性金属(FM)構造(スピンフィルタートンネル接合)を作製すると、強磁性金属において偏極スピンが検出され、FI層とFM層の磁化が平行な場合は低抵抗状態に、FI層とFM層の磁化が反平行な場合は高抵抗状態になる。その結果、トンネル磁気抵抗(TMR)効果が観測される。電子のトンネル確率はトンネル障壁の高さが増加するにつれて急速に減少するため、スピンフィルターを透過した電子は原理的にはほぼ100%上向きスピンを有するはずである。スピンフィルタートンネル接合において、高いTMR比が得られていない理由として、電極/障壁界面での磁気結合やスピン散乱が考えられる。 そこで、本研究では、保磁力が可変な強磁性トンネル障壁Pr0.8Ca0.2Mn1-yCoyO3を開発し、電流注入電極/PCMCO/(STO)/LSMO構造からなるスピンフィルタートンネル接合を作製した。TMR効果の大きさは、強磁性金属電極に加え電流注入電極と強磁性絶縁層の界面に強く依存した。強磁性トンネル障壁の保磁力を系統的に変化させると、それに対応して強磁性金属層の磁化反転に必要な印加磁場が増大し、強磁性電極と強磁性トンネル障壁の間に強磁性的な結合が生じていることが示唆された。そこで非磁性絶縁体の挿入という工夫を行い、これを防止することができた。また、電流注入電極も強磁性絶縁層の上にエピタキシャル成長させることによって、トンネル過程における散乱源の影響を受けずに電子がトンネルすることが分かった。このように、強磁性絶縁層とその両側の電極の界面を制御することで、これまで報告されている中で最も高いTMR比を有するスピンフィルタートンネル接合の作製に成功した。
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