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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
トリフルオロメチル基を有するヘテロ環状化合物は医・農薬品として利用されており,標的分子にトリフルオロメチル基を導入する方法の開発が強く望まれているが,その不斉導入法は未だ不十分である。そこで,フッ素官能基を含む複数の炭素骨格を持つ分子と標的分子とを反応させ,複雑な骨格を構築していくビルディングブロック法を基盤とした不斉合成法の開発を行った。 種々のエナミンにトリフルオロピルビン酸エチル(ETFP)を即ち10mol%のキナアルカロイド/Ti(OR)_4存在下,室温,低濃度にて作用させると,光学活性α-ヒドロキシ-α-トリフルオロメチル-γ-ラクタムを一挙に得ることが高い不斉収率で得られることを見出した。また,得られた生成物は様々な化学変換が可能であり,これを鍵中間体として用い,Fluorinated oxindole, Erythrina Alkaloid, Ibophyllidine-like molecule, Fluorinated pseudo-Lactacystineなどの高度に縮環しフッ素化された医薬品様化合物群の合成へと展開した。また,本反応より得られたγ-ラクタムは自己不均一化現象を示すことも明らかとした。即ち,アキラルなシリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける初期のフラクションの光学純度が著しく増幅されていることを確認した。本現象はわずか40%eeの試料からでも光学純粋なγ-ラクタムを得ることができる興味深い現象である。 2-トリフルオロメチルアクリレート(MAF)は反応性に富んだビルディングブロックであるが,無機塩基などを用いると自身の高い反応性によって自己重合しやすく,これまで不斉反応に用いられた例は限られていた。そこでβ-ケトエステルとの不斉共役付加反応を検討し,キナアルカロイド触媒を用いることで最高でジアステレオマー比85/15,97%eeにて付加体を得ることに成功した。また本反応では1,3の隣接しないトリフルオロメチル基を含む不斉炭素中心を誘起した初の報告である。
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