亡命ロシア文学における「ヴィジョンの複数性」と「疎外の意識」の研究
Project/Area Number |
09J10358
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 幸男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 亡命 / シニャフスキー |
Research Abstract |
本研究は「亡命」における「ヴィジョンの複数性」と「疎外の意識」に焦点を当てながら、それらを統合的に研究することを目的としている。多文化・多言語状況の顕在化した現在において「亡命」という過去に特殊化された状況を捉えなおす作業は、1991年ソ連崩壊後のロシアに留まらずダンテやウェルギリウスに連なるより文学史を視野に入れた「読み」の更新であり、それは現代文化の理解に貢献すると考えられる。3年目は再び東京に研究拠点を移し、主に東京大学においてアメリカ滞在時の資料を用いながら研究を進めた。3年目の研究成果は2011年11月に東京で行われた日本ロシア文学会にて「ギェドロイチとタミズダート-亡命ポーランドにおけるロシア文学出版」の題名にて発表された。またCanadian-American Slavic Studies誌の第45(2011)号には"On the History of the Novel We,1937-1952:Zamiatin's We and the Chekhov Publishing House."という論文が掲載された。前者においてはこれまでロシア文学においても、また、ポーランド文学においても顧みられてこなかった亡命ポーランドにおけるロシア文学出版に注目しながら、そのタミズダート(国外出版)におけるフランスの亡命ポーランド出版社Instytut literacki、またその編集長であったイェジー・ギェドロイチの役割に関して論じた。Instytut literackiの出版物ならびにその代表的雑誌Kulturaにおいて60年代の文学裁判の代表的作家であったブロツキーやシニャフスキー(アブラム・テルツ)といった作家の出版物は世界に先駆けて発表されていた。また、出版活動に目を向けるという点では後者も共通している。英語で発表されたこの論文は、ザミャーチン未亡人と文学研究者グレープ・ストルーヴェの書簡などのアーカイヴ資料に基づきながら、フォード財団の支援により創られたニューヨークのチェーホフ記念出版社から初めてロシア語版のザミャーチン『われら』が発表されるまでをオーウェルのストルーヴェとの書簡における発言などと対照しながら考察した。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)