Project/Area Number |
09J10481
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
光成 歩 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | マレーシア / イスラーム司法 / シャリーア裁判所 / ムスリムの婚姻と離婚 / 「改宗」 / 「棄教」 / 管轄問題 / マレー人ムスリム |
Research Abstract |
本研究の目的は、法制度とそれをめぐる論争の分析を通してマレーシアにおけるイスラームの位置づけを構造的に把握することである。本年は、平成21年11月より平成22年10月までマレーシアに長期滞在し、イスラーム行政機関、司法機関、国立図書館などで調査を行った。 具体的には、スランゴール、ケダーにおいてシャリーア下級裁判所、シャリーア高等裁判所での傍聴や図書館等での判例収集を通して、イスラーム法の実際の運用過程を分析した。 昨年度までに、改宗問題とシャリーア裁判所と連邦司法制度との管轄問題という、「境界」に関わる判例を対象として考察を進めてきたが、それらの係争に対する議論のなかでは,」シャリーア裁判所」像やシャリーア裁判所の地位へのこだわりが論争のキータームとなっていた。本年度の調査はこれを踏まえたシャリーア裁判所実務の調査であった。 シャリーア裁判所で最も多い係争は、婚姻・離婚に関わるものである。この婚姻・離婚は、ムスリムのイスラーム実践においてもっとも日常的なものである。人々の生活の営みのなかで、イスラームに即した規範の実践・解釈がどのようになされているかを、シャリーア裁判所における彼らの婚姻・離婚の語りと、裁判官による処理のプロセスとの交渉のなかで観察した。 管轄や改宗など、「境界」や外部からの視線と、シャリーア裁判所実務のなかでの実践という二つの知見により、マレーシアのイスラーム司法の外縁と内実の両方に迫ることが可能となった。 年度後半は、現地調査で得たデータの分析をおこなった。また、シンガポールとマレーシアのシャリーア裁判所開設期(1950-60年代)のムスリム・コミュニティの議論を分析し、論文にまとめた。
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