合意を前提としないリスクコミュニケーション手法の開発
Project/Area Number |
09J10585
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology/History of science and technology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 翔 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | リスク / ルーマン / 審議会 / エスノメソドロジー / 食品安全委員会 / BSE / リスクガバナンス / コミュニケーション / 熟議民主主義 / リスク認知 |
Research Abstract |
2011年度は(1)ニクラス・ルーマンによるリスク論の検討、(2)内閣府食品安全委員会や厚生労働省薬事・食品衛生審議会などの科学審議会を対象とする議事録分析、(3)博士論文の執筆、という3つの作業を行った。 (1)ルーマンのリスク論では、諸議論が「決定」と関連づけられているが、「決定する者と巻き込まれる者」という区別では、ある決定に与しないが当該決定に知識産出などによって影響を与えることができるという行政への科学的助言の役割を分析できない。ルーマン自身の「決定」の定義は確かに「予期」に基づいたものとなっているが、行政への科学的助言の役割を分析する目的のためには、「決定」ではなく「予期」を明示的に基礎とした理論に再構成する必要があるとの見通しの下、リスク論の再構築を行ってきた。この成果は、2011年12月の科学技術社会論学会で発表され、2012年度中に投稿論文として発表される予定である。 (2)科学技術社会論等では、科学審議会などで検討される問題群は、科学的に問うことはできるが科学のみによって答えることはできないというトランス・サイエンス的性質の問題群であり、それらに対して提出される解答群には科学以外の諸要因も影響している、と指摘されて久しい。こうした指摘を踏まえ、科学審議会内部でのアジェンダ設定等の議論形成過程、科学審議会での検討内容・報告書が科学審議会の外部でどのように利用されるか、どのような利用を科学審議会内部の委員が予期しているか、などをエスノメソドロジー(特に議事録・会話分析)を採用して分析している最中である。今後、調査・分析の結果を投稿論文として発表する予定である。 (1)の理論的研究と(2)の実践的研究とを相互補完的に統合することにより、行政への科学的助言の機能を精査し、今後の科学審議会のあり方を検討し直すための基礎とすることができると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では3年で分析を終え、博士論文の作成までを完了している予定であったが、ルーマンのリスク論の検討・再構成に当初の予定以上の時間がかかっている。また、研究遂行の過程で、エスノメソドロジーなど当初の計画では想定していなかった手法の習得などがあり、投稿論文の執筆に関する計画をはじめとして、当初の計画に比してやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、引き続き博士課程に在籍しながら遂行し、その成果については、最終的には近年中に博士論文として提出する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)