Project/Area Number |
09J10621
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Medical pharmacy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 卓也 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | BSEP / トランスポーター / 胆汁酸 / 胆汁うっ滞 / パルミトイル化修飾 / ABCG1 / コレステロール / アテローム性動脈硬化症 / ABCトランスポーター / 翻訳後修飾 / コレステロール輸送 / パルミトイル化 |
Research Abstract |
BSEPの輸送機能を制御する機構を明らかにしていく中で、BSEP、ABCG1を始めとしたトランスポーター類の輸送機能がパルミトイル化修飾というタンパク質の脂質修飾によって制御されていることを明らかにした。ABCG1は血管内皮細胞やマクロファージなどの末梢細胞に多く発現し、それらの細胞内からのコレステロール排泄に関与することでコレステロールの恒常性維持に関与している。また、酸化コレステロールの細胞内からの排泄を行うことで、動脈硬化の防御因子として機能していることがノックアウトマウスを用いた研究から報告されており、その生理学的重要性が注目を集めつつあるタンパク質である。 また、細胞膜上で機能を発揮するBSEPとは異なり、ABCG1を介したコレステロールの輸送においてはABCG1の細胞膜上での発現だけではなく、細胞内での局在もその輸送機能の発現に重要な役割を果たしていると考えられているが、正確な機能発現機構が不明である。そこで、ABCG1の輸送機能の発現機構とそれに対するパルミトイル化修飾の役割を解明することを目的として、ABCG1に力を入れて研究を進めた。 その結果、ABCG1のパルミトイル化修飾に関与する酵素群の同定、パルミトイル化修飾を受ける ABCG1のCysteine残基の同定に成功した。そして、ABCG1のパルミトイル化修飾はABCG1の発現量に影響を与えることなく、ABCG1を介したコレステロール排泄機能の制御に働くことを明らかにした。さらに、ABCG1のコレステロール排泄機能の制御機構に関する研究から、ABCG1はこれまで考えられてきたように細胞膜上で機能するのではなく、細胞内のlysosomeからのコレステロールの排泄に関与する可能性が示唆された。これらの知見は不明な点の多いコレステロールの体内動態を解明する上でも大きな助けになるものと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ABCG1のパルミトイル化修飾に関与する酵素群の同定やABCG1のパルミトイル化修飾部位の同定に成功し、また、ABCG1のコレステロール排泄機能に対するパルミトイル化修飾の影響の評価にも成功したことから、研究に関しては概ね順調に進展したものと判断した。ただ、パルミトイル化修飾によるABCG1の機能制御機構については未解明なため、今後も更なる研究の進展が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、ABCG1へのパルミトイル化修飾がABCG1のコレステロール排泄機能を直接的に制御することを明らかにした。また、パルミトイル化修飾を受けるCysteine残基をSerine残基に置換した変異体を用いた細胞免疫染色の解析から、パルミトイル化修飾によるABCG1の機能制御はABCG1の局在を変化させることで達成されることが示唆されているが、十分に示されているとは言い難い。ABCG1のパルミトイル化修飾に関与する酵素群の同定に成功していることから、今後はこれらの酵素群のノックダウン条件下でのABCG1の局在変化を観察することや、人工脂質二重膜を用いた再構成系を用いてABCG1の機能それ自体に対するパルミトイル化修飾の影響を評価することが必要であると考えられる。
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