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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
心臓における機械電気帰還現象の解明を目的とし、力学・電気化学連成現象を考慮した心筋細胞モデル化への三相理論適用の可能性を検討した. 具体的には下記の成果が得られた.まず,未知数の取り方を変更することで,安定かつ従来よりも低計算負荷に離散化する手法を考案した.また従来の三相理論では固定電荷は一定であったが,これを可変とすることで細胞生理学モデルと接続する工夫を行った.特に細胞膜においては,これをはさんだ細胞内外で三相理論の電気的中性条件が成立すると考え,膜をコンデンサとみなす細胞生理学モデルと整合させた.以上の手法を実装することにより,細胞組織の変形,細胞液の流れ,圧力,イオンの流れ(電流),電位を総て連成して解くことが出来るようになった.そして,2次元の簡単なモデルではあるが,基礎的な挙動を数値計算により調べ,a)複数のイオンがそれぞれ均一に分布している状態からある一つのイオンのみに濃度勾配を与えた際に他のイオンも電位勾配に従って移動する,b)固定電荷の存在によって電位勾配がうまれる,c)細胞組織の変形による細胞液の流動は細胞組織あたりのイオン濃度を変化させ得る,などを確認した.またイオンの濃度勾配,電位勾配,移流に関する考察を行い,心筋細胞の挙動にはこれらの因子が複合して影響を及ぼすことを論じた.更に,電場による単離心筋細胞の興奮実験と類似の数値実験を行い,定性的にではあるが同様の結果を得た.以上のように,極めて簡単な2次元モデル化やパラメータ設定の下でも三相理論を応用することにより心筋細胞の基本的特性を表せることを実証した.
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