Project/Area Number |
09J10700
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
生物物理・化学物理
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
観山 正道 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 非平衡定常系 / 非平衡ソフトマター / 剪断流下のコロイド分散系 / 秩序・無秩序相転移 / レオロジー / 結晶核生成 / 欠陥動力学 / 分子動力学法数値計算 / 秩序-無秩序相転移 / Brown動力学法数値計算 |
Research Abstract |
非平衡定常系における秩序発現とこれに伴う相転移現象に関する理解を深めるために、剪断流下のコロイド分散系を舞台に主に数値計算を用いた研究を続けてきた。直径1μm程度の微粒子(コロイド粒子)が溶液中に安定して分散するコロイド分散系はソフトマターとよばれる物質群の代表例であり、様々な分野で重要な役割を果たしている。適切な条件下で、コロイド粒子は溶液中で規則正しい配置をとる、結晶化を起こすことが知られており、環境の条件を変化させることで、粒子配置に秩序のある結晶相と乱雑な配置をとる液体相との間の相転移が観察される。 平衡条件下での相転移の振る舞いは平衡統計熱力学によりよく理解されているが、剪断流下ではどうなるのか。前年度までの成果により、勢断流下の秩序発現の特徴付け、秩序相の明確な定義は明らかにされたが、これを踏まえて、相転移の性質が剪断を加えることでどのように変化するのかを数値実験により議論した。ここでの相転移の性質とは、相転移の次数や臨界現象の存在の有無を意味する。この結果、わずかな剪断が加わったときでも、核生成によって特徴づけられる1次転移から臨界ゆらぎによって特徴づけられる2次転移になることを見出した。具体的には、回転対称性の破れを定量化する秩序変数を使って、結晶の融解時間のパラメータ依存性を議論することで、微妙な問題に対して綺麗な証拠を提出することができた。平衡条件下では転移点に近づくにつれ、融解時間は核生成過程の顕れであるVogel-Fulcher型の発散を示すのに対し、剪断流下ではべき的な発散を示し、これは2次転移のような臨界緩和の存在を示唆している。ただし、相関長の発散の直接的検証や簡単な模型による普遍性の調査など、今後調べるべき課題は残されている。 以上の結果はPhysical Review E: Rapid Communicationにおいて公表済みである。
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