Project/Area Number |
09J10709
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Medical pharmacy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池淵 祐樹 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | RACK1 / ABC蛋白質 / 細胞内局在 / 蛋白質発現量 / 胆汁形成 / 胆汁組成 / 肝臓 |
Research Abstract |
胆汁鯵滞様の症状を呈する際には、ABCB4を始めABCB11やABCC2などのABC蛋白質の細胞膜表面上の発現量が低下し、胆汁流の形成が破綻することが示唆されている。胆管結紮や大腸菌内毒素(リポポリサッカライド:LPS)投与により類似の動物モデルが構築されることが知られているため、これらの病態モデル動物におけるRACK1の発現量変動、またそれに伴う各ABC蛋白質の発現量・機能制御を検証した。マウスにLPSを腹腔内投与したところ、過去に報告のあるようにAbcb4/Abcb11/Abcc2の蛋白質発現量は低下し、またRack1の発現量は60%程度まで低下した。続いて、この胆汁欝滞モデルマウスにアデノウィルスを用いてRack1を一過性に過剰発現させ、それによりABC蛋白質の発現量が回復するか否か確認したものの、有意な効果は認められなかった。 一方で、Rack1に対するshRNA配列を組み込んだアデノウィルスを投与することで肝臓選択的にRack1の遺伝子抑制を行ったマウスにおいては、Abcb4と共にAbcc2、Abcg5/g8の膜分画での蛋白質発現量が低下した。さらに、回収した胆汁中の組成を解析した結果、Abcc2の生理的基質であるグルタチオンの濃度がコントロール条件の70%程度まで低下していること、Abcg5/g8の生理的基質のコレステロール量が60%程度に低下していることが明らかになった。これらABC蛋白質に関しては、in vitroでの検討から、ABCB4やABCG2と同様にその蛋白質発現量及び細胞内局在がRACK1の発現量によって制御されることが示唆された。しかしながら、それらが選択性を持ってどのように相互作用しているのか、また生理的条件下あるいは病態時にこれらがどのように寄与しているのかに関しては明確な知見は得られなかった。今後さらなる解析を行うことで、RACK1のマスター制御因子としての可能性を明らかにするものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたABCB4及びそれ以外に肝臓胆管側膜上に発現するABC蛋白質発現量とRACK1発現量との関連性に関してはin vitroレベルではほぼ検証することが出来たが、それらの相互作用がどのような機構により選択性を持って行われているか明らかにするには至っていない。また、胆汁流の形成に関わる複数のABC蛋白質の発現量を制御しうるRACK1が、生理的にどのような役割を担っているか解明する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
RACK1によるABC蛋白質の発現・機能制御が生理的に、あるいは病態時にどのように寄与しているかを検証する必要がある。そのため、ヒト肝臓検体を収集する、もしくは市販されている肝組織切片アレイ等を利用し、RACK1の発現量と各ABC蛋白質の発現量比を比較する。それらの検討から関連性が認められた場合には、胆汁欝滞を惹起する各処理によってRACK1の発現がどのように変動するのか、その際のABC蛋白質の発現量変化を検証する。また、胆汁形成とは関連性に乏しいが、RACK1の発現量が肺線癌の救命率と有意に相関することが報告されていること、抗癌剤の排出能を持つABCG2の発現量にもRACK1が関与していることから、それら癌組織におけるRACK1の発現量制御機構を解析することで、様々な因子に関わるRACKの生理機能の一端を解明することを試みる。
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