両生類の吸水行動制御機構ならびに浸透圧受容機構の解明
Project/Area Number |
09J10811
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Morphology/Structure
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
前嶋 翔 富山大学, 大学院・理工学教育部, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2009 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 両生類 / 水・電解質調節ホルモン / 水分摂取行動 / 膜受容体タンパク質 / 浸透圧受容器 / 水・電解質代謝関連ホルモン / 膜受容体蛋白質 |
Research Abstract |
平成23年度は、無尾両生類の水分摂取行動である吸水行動を制御する脳領域について明らかにするため、水分摂取行動を促すホルモン(Ang IIとAVT)や体液変動によって神経活動が活性化する領域の探索を行った。神経活動のマーカーとして用いられている転写因子c-fos発現を指標に、ホルモン投与及び体液変動時にFosタンパクが増加する脳領域・神経核を免疫組織化学的に精査した。その結果、第3脳室前壁を構成する領域である前交連や間脳視索前野、視床下部背内側核で顕著なFos発現が見られ、これら領域がホルモン増加や体液変動時に活性化する領域であることが示唆された。これら脳室周囲領域は、哺乳類においてホルモン及び体液情報の受容部位及び飲水行動の制御中枢であることが知られており、これら領域が両生類における相同器官である可能性が示唆された。 一方で、昨年度に同定したTRPVチャネルが浸透圧センサーとして機能する可能性について検証するため、Xenopus卵母細胞へTRPV遺伝子を導入してタンパクを発現させ、膜電位固定法による解析を行った。その結果、明確な浸透圧応答性を確認するまでには至らなかったが、解析した各サブタイプがそれぞれ異なる温度域に反応してイオン流入に付随した電位変化を生じさせること、すなわち温度センサーとして機能するイオンチャネルであることを明らかにした。 以上の研究から、体液変動やホルモンにより活性化する領域を同定し、両生類の吸水行動の制御中枢である可能性を示した。これにより非哺乳類における水分摂取行動の制御機構の一端を明らかにしたため、脊椎動物に共通して存在する水分摂取行動の制御機構を解明する上での重要な知見となりうる。またTRPVは、非哺乳類では機能的解析が進んでおらず不明な点が数多く残されているため、本研究成果は脊椎動物のTRPVの生理学的意義を解明する足がかりとなると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究における目的の一つとして「両生類の水分摂取行動を制御する脳領域・神経核の特定」をあげ研究を進めてきた。22年度及び本年度における研究により、ホルモン投与や体液環境が変動した際に応答する領域を組織学的に同定することには成功したが、それら領域に各ホルモンの受容体や細胞膜センサータンパクが発現しているか、核領域同士が神経連絡網を形成しているかを突き止めるには至らなかった。またTRPVチャネルが浸透圧応答能を有するかについても、明らかにすることはできなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究により、ホルモンの作用部位であり体液環境の変動を受容する領域であることが示唆された領域に各ホルモンの受容体が発現しているか、また浸透圧や圧受容センサーなどのタンパクが発現しているかについて精査する必要があると考えられる。また、本研究で解析したホルモン以外にも脳内で発現している神経ペプチドや神経伝達物質の局在や相互作用について調べ、複雑な神経回路網を形成しているかについても明らかにしなければならない。特に、分子生物学的手法を用いた解析では、状況に応じて両生類のモデル生物であるツメガエルを用いることで、円滑な研究の遂行が期待できると思われる。以上に加え、本課題においておこなった研究内容を生息環境の異なる両生類種を用いて行い比較することで無尾両生類の水分摂取制御について、より詳細に明らかにできると考えられる。
|
Report
(3 results)
Research Products
(11 results)