新たな染色体外DNA維持機構の解明と画期的な分子育種技術への応用
Project/Area Number |
09J10915
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Applied microbiology
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山城 大典 愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 染色体外DNAの超安定化 / DNA維持機構 / 新機能遺伝子 / 小型タンパク質因子 / Bacillus subtilis / 微生物分子育種 / ポリ-γ-グルタミン酸 / 鞭毛形成因子 |
Research Abstract |
納豆ネバ成分“ポリ-γ-グルタミン酸”の生合成遺伝子クラスターから新奇な染色体外DNA維持遺伝子edmSが見いだされた。本遺伝子は55アミノ酸からなる超小型タンパク質EdmSをコードしていた。本EdmSタンパク質を基盤とするDNA維持(EDM)機構の解明が急がれている。昨年、本機構が鞭毛形成タンパク質との機能的相互作用を介して成り立つとする驚くべき可能性が示された。最有力候補として鞭毛基底部の形成に関与するFliFタンパク質の名前が挙がっている。そこで、まずEdmSとFliFの両タンパク質の発現が人為的かつ同時にオンオフできる発現ベクターを新たに作製した。次いで、鞭毛形成/走化性(fla/che)オペロン全域を欠く枯草菌変異株に導入し形質転換体を得た。選択圧を負荷しない条件下でベクターDNAが維持されるかどうか調査したところ、極めて良好なベクター維持効果が認められた。本結果は概ね35の構造遺伝子を含むfla/cheオペロンのうち、本DNA維持機構の成立に関わっているのは唯一FliFタンパク質(fliF遺伝子)ということを意味している。さて、大腸菌やヒトをはじめ様々な生物種の全ゲノム解析が完了する中、複雑な生命現象を説明するには遺伝子の数が余りにも少ないことが分かってきた。その補完機構として“Moonlighting”タンパク質による機能重複/変換が提唱されている。本研究では、図らずも鞭毛形成の主役と信じられてきたFliF因子がEdmSと相互作用することでDNA維持装置に変換されることを暗示する結果を得た。私の知る限りこのような報告は先に例がない。今後は両タンパク質分子間の相互作用メカニズムに係る精密分析が課題になる。さらに、大腸菌や巨大菌等の異種微生物を宿主とした場合の該EDM効果について調べた。結果、少なくともバシラス種において同程度の効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本実験開始当初、計35にものぼるfla/cheオペロン構造遺伝子群からカウンターパートナー(CP)を正確に同定するのは至難と思われていた。このような状況下、CP=FliF因子との結論に至ったこと、本実験最大の目的を達成することができたのは非常に幸運であった。現在、かかる成果をまとめ、インパクトファクターの高い分子微生物学関連国際誌に投稿する準備をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は当該研究実施機関の最終年度に当たるため、今後の推進方策,こついて述べたい。まず、選択圧負荷を必要とせず、かつ広範な生物細胞種への有用遺伝子導入が可能なEDMベクター開発に繋げていく必要がある。さらに、本成果を足掛かりに本DNA維持機構の全容解明、並びにこれを支える分子装置(複合体)の同定が進めば、当該EDMベクターから高性能分子育種ツールが創製されることも期待できるようになるものと思われる。
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Report
(3 results)
Research Products
(21 results)