Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は電界強度100kV/mを超える高周波高電界によって動物細胞の反応や活性を制御し,最終的にはがん治療などの,医療分野への応用を目指すものであり,平成23年度は,昨年度得られた細胞の増殖活性のパラメータについて,その周波数や印加回数,電界強度への依存性を網羅的に調査し,与える影響の違いを明らかにした.また,細胞増殖の活性化に特に顕著な印加回数,電界強度の条件で,細胞がどのような反応を内部で引き起こしているのかをPCR法を用いて解析を行った.実験の結果,通常,細胞の増殖に関わる膜近傍のタンパク質発現に関わる遺伝子や,タンパク質翻訳に関わる転写因子などの発現がみられた.しかし,シグナルの伝達は連鎖反応により下流へと繋がるが,今回の反応は中間にある遺伝子発現がみられず,ストレス性の別経路が強く関わっている可能性を示した. また,21年度に行なわれた熱ストレスを含まない細胞死誘導の基礎実験について,そのメカニズムを検討,実験しその成果を発表した.電界印加により,細胞内のカルシウム濃度が一時的に上昇する現象は知られているが,瞬間的な濃度の上昇では外的な要因のネクローシスと判断される.アポトーシスにおけるカルシウムイオンの増減現象はカルシウム振動とよばれ,周期的にイオン濃度が増加し,シグナルを伝える.細胞死誘導実験では,電界印加におけるカルシウムバーストを周期的に繰り返し,疑似的なアポトーシスシグナルを伝達させ,最終的にDNAの断片化を引き起こしたのではないかと考えられる.実際に,電界印加によるカルシウムイオンの増加や,そのパラメータ依存も確認しており,高周波高電界による電気ストレスが,生体反応の制御およびがん細胞や組織に対して非常に有効な治療手段となる可能性を示した.
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