Project/Area Number |
10123207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 利彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60090528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 一乗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70251337)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | IV型コラーゲン / V型コラーゲン / III型コラーゲン / I型コラーゲン / 血管内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 傾斜構造 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
ヒト生体組織、例えば血管壁ではコラーゲンの種類としてはIV型コラーゲン、V型コラーゲン・III型コラーゲン、I型コラーゲンが主体の傾斜構造をしており、分化細胞も血管内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞の傾斜になっている。これはたまたまなっているだけであるのか。それとも、生体組織あるいは臓器として機能し、それらを維持する上で作用しているのであろうか。細胞の形態、増殖、分化などの基本的な細胞の分化機能が細胞環境によって誘導・維持・再生されること、そして、細胞外固相環境と分化細胞からなる組織が傾斜をしていることにより、より高次の組織・器官が維持されているとするとの作業仮説を基に本研究を遂行した。この仮説を検証するための方法として再構成したコラーゲン会合体を培養細胞の基質として用い、コラーゲンの種類あるいは会合体構造と分化細胞の機能発現・維持との関係を検討した。 IV型コラーゲンゲル上では肝臓星細胞、血管平滑筋細胞、メサンジウム細胞だけでなく、骨格筋肉腫細胞でも特異な突起の形成、細胞間接合および増殖の停止が見られた。動脈血管由来の平滑筋細胞を血清存在下で継代培養し、筋線維芽細胞様に変化した細胞をIV型コラーゲンゲル上で培養し、正常な細胞に戻すことが可能との知見が得られた。先行研究では、一旦、線維芽細胞様に変化すると、収縮する平滑筋細胞へ戻すことは不可能と一般に考えられていた。IV型コラーゲンゲル上で培養した筋線維芽細胞はエンドセリンを添加すると、収縮した。各種臓器の線維症(例えば、動脈硬化)は、コラーゲン超構造の傾斜が崩れている状態である可能性を本研究の成果は示唆している。このような病態組織についての新しい考えを世界にさきがけ初めて提唱したい。薬剤の開発、新しい治療法の展開につながる可能性があり、それを具体的に展開する基盤となりうる成果が得られた。
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