Research Abstract |
本研究は,地方中核都市における既設道路橋の耐震補強計画をより合理的に策定するために有用と思われる「道路橋の地震防災上の重要度評価システム」の確立を目的とし,平成9年度からの継続研究として行ったものである。 本評価手法の概要は次のようである。まず,地質学的条件等を勘案して,評価対象地域に最も大きな被害を及ぼすと思われる震源を想定する。ついで,想定地震に対する評価対象地域内の既設道路橋の被害の推定結果より評価対象橋梁を決定し,それらの属性(橋が被災した場合の影響度,防災上の要因,交通特性ならびに河川の横断状況等)に基づく重要度を算定するとともに,評価対象地域の被害予測より推定される震後(避難期,救援期,応急復旧期)の発生交通量等を用いた道路網のネットワーク解析により,各時期における各道路橋の主要トリップへの貢献度を算定し,道路橋のネットワーク特性に基づく重要度を求める。最後に,これらの重要度を統合して,道路橋の地震防災上の重要度を評価する。ここで,道路橋の地震被害予測にはニューラルネットワークを用いた古川らの方法(1997年)を,また,評価対象地域の被害予測には国土庁地震被害想定支援マニュアル(1997)を適用した。本システムの妥当性を検討するために,四国における中央構造線東半分でマグニチュード7.7の直下型地震が発生すると想定して,徳島市の中心部(5km×8km)に存在する道路橋(72橋)の地震防災上の重要度評価を行った。その結果,現段階で使用しているパーソナールコンピュータの性能のため,若干マニュアル操作が必要な部分が存在するが,システム全体としては比較的オートマチックに道路橋の重要度評価ができることを確認した。
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