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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
アセトニトリルの配位した陽イオン性レノセン[(η_5-C_5H_5)_2Re・NCMe]^+の光反応によって発生させたレノセンのモノカチオン[(η_5-C_5H_5)_2Re]^+は,ベンゼン,チオフェン,メチルチオフェン等の芳香環のC-H結合を活性化し,酸化的付加生成物[(η_5-C_5H_5)_2Re(aryl)H]^+を収率良く与えることを見出した。これは,レノセン誘導体を用いた初めてのC-H結合活性化の例である。C_6D_6を用いてこの反応の速度論的重水素同位体効果を求めたところ,1.09という小さな値が得られた。これは,C-H結合の開裂がこの反応の律速段階ではないことを示唆している。得られた陽イオン性アリール(ヒドリド)レノセンのヒドリド配位子は,DBU,トリエチルアミン等の塩基によって容易にプロトンとして引き抜かれ,中性のアリールレノセン誘導体[(η_5-C_5H_5)_2Re(aryl)]を与えた。この中性錯体は容易にプロトン化されてもとの陽イオン性アリール(ヒドリド)錯体を生成した。またチエニル誘導体については求電子的なメチル化剤で処理すると高収率でカチオン性のチエニル(メチル)錯体[(η_5-C_5H_5)_2Re(C_4H_3S)Me]^+を与えたが,同様の条件でエチル化は起こらなかった。チエニル(メチル)錯体の構造をX線結晶解析により決定し,この分子がチエニル配位子とメチル配位子との間の大きな立体反発によって歪んでいることを明らかにした。チエニル(メチル)錯体からのメチルチオフェンの還元的脱離を期待して,この錯体をホスフィン存在下で加熱したところ,予想した還元的脱離は起こらず,代わりにチエニル基がCp配位子上ヘ転位するという形でC-C結合形成が起こり,チエニルシクロペンタジエニル配位子を含むカチオン性レノセン誘導体を与えることが分かった。
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