結晶-準結晶相変態によるポーラス組織の形成と金属結合-共有結合転換
Project/Area Number |
10136209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 薫 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (30169924)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 準結晶 / ポーラス組織 / 密度 / 空洞率 / Kirkendall効果 / リートベルト法 / 最大エントロピー法 / 電子密度分布 |
Research Abstract |
結晶相から準結晶への相変態に伴うポーラス組織の形成過程を調べるため、Ar雰囲気にてアーク溶解した母合金を切り出して真空封入し、850℃で30時間までの様々な時間で試料を焼鈍した。FE-SEMの結果、準結晶相の単相度が高くなるにつれてその組織はポーラスになることが確認でき、比重びん法を用いた密度測定値から見積もった空洞率の値もこの結果を支持した。焼鈍前では、Al_3Pd相とAl_<0.7>Re_<0.3>相とに分かれた層状組織になっており、焼鈍後にはAl_<0.7>Re_<0.3>相の領域に準結晶が生成し、Al_3Pd相の領域に空洞ができる。準結晶の生成時における空洞の形成要因として、PdとReの拡散係数の違いによるKirkendall効果が考えられる。 AlPdRe準結晶の真密度測定を、ヘリウムを用いた定容積膨張法を用いて行なった。試料の組成分析を併せて行ない、原子半径の小さい遷移金属濃度の増大と共に、逆に、準格子定数が増大し、単位胞中の原子数も減少することを明らかにした。この結果は、準結晶の共有結合性が増大していることを意味している。 準結晶相に特徴的な正20面体クラスターを維持した近似結晶に対して、放射光を用いて測定した粉末X線回折パターンのリートベルト法構造解析と最大エントロピー法によって得られる電子密度分布から、正20面体クラスターやクラスター間の結合性を調べた。中心にRe原子を配置した13原子Al正20面体クラスターを持ち、電気物性が金属的なAl_<12>Re 1/0立方晶近似結晶においては、同じIII族のボロンの正20面体クラスターを有するα-ボロンで見られるような三中心共有結合はなく、金属的な結合状態となっていることが分かった。一方、12原子Al正20面体クラスターを持ち準結晶的(半導体的)な電気物性を有するAlMnSi 1/1立方晶近似結晶では、共有結合的な電子密度分布が観測された。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)