Project/Area Number |
10146203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
下村 政嗣 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10136525)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 核酸塩基 / 分子認識 / 単分子膜 / 励起子 / 水素結合 / スタッキング / π電子 / アゾベンゼン |
Research Abstract |
本特定研究の目的は、分子の集合・組織化制御がしやすい気液界面を用いて、核酸塩基間の特異な水素結合を利用することで非局在化したπ電子系を作製することにある。さらには、DNAの有する制御された重合度・シークエンスを鋳型として会合数・配列が完全に制御された一次元π電子系を構築し、励起子形成と分子集合構造の相関性を明らかにするとともに、DNAならびにDNA-Mimeticsの機能材料としての展開を図る。本年度は、気液界面における塩基対ならびにトリプレックス形成、およびDNA-Mimeticsへの他のπ電子系の導入について検討した。すでに我々は、核酸塩基の簡単な長鎖誘導体であるオクタデシルシトシンがグアノシンを含む水溶液上で安定な単分子膜を形成し、グアノシンの有する糖残基に由来するキラリティーを反映したようなカイラルな二次元結晶を形成することを見いだした。表面圧-面積等温線、FT-IR、などの測定の結果、オクタデシルシトシン分子はグアノシンとのみDNA中でみられるのと同様に相補的な水素結合を形成することを明らかにした。興味あることに、オクタデシルシトシン-グアノシン相補対からなる二次元結晶の中には、インターカレーターであるアクリジンオレンジや疎水性のオクタデシルクリジンオレンジがモノマー状態で取り込まれることから、塩基対の二次元面内でのスタッキングが示唆された。単分子膜の吸収スペクトルを測定したところ、グアニン・シトシン塩基をもつDNAに比べ(260nn)て著しい長波長シフト(280nm)が観察された。DNA-Mimetics系ではより強い相互作用が期待される。オクタデシルアデニンとオクタデシルチミンの一対一混合物も、純水上においてWatson-Crick型の水素結合を形成し、針状の二次元結晶をかたちつくる。この結晶にもオクタデシルアクリジンオレンジはインターカレートする。さらに、この系においてもDNAよりも強いπ電子の相互作用がみられた。また、疎水鎖内にアゾペンゼンやジアセチレンなどのπ電子系発色団を有する塩基誘導体を合成した。アゾペンゼン基を側鎖に持つシトシン誘導体もまた、グアノシン水溶液上でのみ安定な単分子摸を形成することができた。興味あることに、アゾペンゼンの吸収スペクトルが、シトシン残基とアゾペンゼン発色団をつなぐアルキル鎖長に依存して著しく変化することを見いだした。この現象は、アゾペンゼン発色団を疎水部に有する二分子膜で観察されたものと類似しており、アゾペンゼン発色団間の強い相互作用の結果、励起子が形成されて吸収スペクトルのDavydov分裂がおこったものと考えられる。核酸塩基部位のみならず、非局在化した様々なπ電子系を二次元分子集合体に導入することで、新たな光機能の発現が期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)