変態に伴うコオロギ概日リズムの位相逆転の神経・内分泌機構
Project/Area Number |
10161209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
富岡 憲治 山口大学, 理学部, 教授 (30136163)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 昆虫 / 変態 / 概日リズム / セロトニン |
Research Abstract |
フタホシコオロギはその概日リズムが幼虫期の昼行性から成虫脱皮後約1週間のうちに夜行性に逆転する。本研究では、リズム逆転を惹起する神経回路の組み換えに関わるモノアミン性ニューロンを明らかにすることを目的とした。高速液体クロマトグラフィーによる解析から、脳内セロトニン量は、8令幼虫期には2.5ng/mgであるが、成虫脱皮後リズム逆転を完了するまでの間に急激に増加し、幼虫期の約2倍に達しに。さらに、セロトニン量は概日リズムを示し、夜間には昼に較べ増加することがわかった。脳内セロトニン量の増加とリズム逆転との関係を明らかにするため、5,7-DHTによるセロトニン性ニューロンの選択的阻害とp-CPAによるセロトニンの合成阻害とを試みた。5,7-DHTの脳内投与では脳内セロトニン量が約30%減少し、幼虫期の昼の活動が著しく増加し、成虫脱皮後も明期の高い活動を維持する個体が現れた。また、リズム逆転が生じた個体でも、逆転までに要する日数が、リンガー液を投与した対照と較べて著しく長くなった。一方、P-CPAの成虫での経口投与では脳内セロトニン量が対照の20%以下にまで減少し、夜行性から昼行性へ活動性が逆転することも観察された。以上の結果は、セロトニン系が明期の活動を抑制し、暗期の活動を増加させることにより、リズム逆転を引き起こす可能性を示唆している。ただし、正常に近い夜行性活動を維持する個体も見られることから、セロトニン以外の系がリズム逆転に関与する可能性も示唆される。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)