Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
同じ触媒反応をするアイソザイムは,pH環境や最適温度などによって発現のパターンが異なっている。時には局在器官特異性や発生過程での発現時期特異性などを示すものもあり,適応的な分化が生じている可能性が考えられる。これまでの研究から,これらのアイソザイムは,遺伝子の機能分化を促進する重要な分子進化の機構である遺伝子重複によって生じたことが示唆されてきた。しかし種分化レベルにおいて,アイソザイムの遺伝子の重複が適応的に分子進化しているかどうかを確かめた研究は数少ない。そこで本研究では,嫌気的条件と密接に関係しているアルコール脱水素酵素(ADH)に的を絞り,ADHのアイソザイムが重複している植物種を近縁分類群間で比較し,系統をもとにその発現パターンにおいてちがいがあるかどうかを検討し,適応的な分子進化がみられるかどうかを検討している。 キク科8連18属22種の粗抽出液を酵素タンパク電気泳動を行い,ADHの活性染色を行った。 その結果,1から3以上のアイソザイムが各分類群で見つかった。系統樹から推定すると,キク科の中で複数回,ADHアイソザイムの遺伝子重複が生じ,同じく消失が起きたと考えられる。 さらに発現パターンを比較したところ,組織特異性を示す重複のパターンや,嫌気条件によって誘導される重複パターンもあり,さまざまな変異が認められた。このことから重複した遺伝子が消失せずに機能を維持した場合,かなり速い速度で分類群特異的に分化している可能性が考えられる。 これら重複したADHの分子進化速度から適応的進化が認められるかどうか,またADHアイソザイムの生理的機能の分化と生息地などの生態的環境などの関連が考えられるかどうか検討中である。
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