Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
本研究はテロメラーゼ活性を測定することで大量の正常細胞中に存在する極めて微量な癌細胞の検出を確立し,肺癌治療における術前診断の補助,術後治療計画の指標とすることを目的に計画した。 (1)肺癌原発腫瘍組織内のテロメラーゼ活性を,TRAP(Telomerase Repeat Amplification Protocol Assay)の原法を用いて,肺癌切除107例の癌部と正常非癌肺組織から測定した。正常非癌肺組織からは全例テロメラーゼ活性は検出できなかった。一方,肺癌原発腫瘍組織では107例中89例(83.2%)でテロメラーゼ活性が検出された。小細胞肺癌は全例(4/4),非小細胞肺癌では103例中85例(82.5%)でテロメラーゼ活性が検出された。非小細胞肺癌の組織型では検出率に差はなかったが,病期ではIIIB,IV期の進行例では全例に検出された。このようにテロメラーゼ活性は肺癌組織において約80%に検出されたことから,微量癌細胞の検出系における有用なマーカーであることが示された。 (2)さらに上記(1)の結果に基づき対象症例の予後の解析を行った結果,テロメラーゼ活性の有無は多変量および単変量解析においても独立した予後因子であることが示された(単変量;p=0.0058,多変量;PR=8.62,p=0.035)。 (3)次に肺癌患者における気管支肺胞洗浄液(BAL)中のテロメラーゼ活性の測定をTRAP-eze ^<TM> Telomerase Detection Kitを用いたnon-RI法で行った。その結果,internal controlの発現に対して,BAL中(10^3-10^4cells)のテロメラーゼ活性の発現は弱く,BAL細胞数をさらに増加(10^5-10^6cells)させることで比較的強い発現をみとめた。しかい臨床検体(血液,喀痰など)に応用するには,さらに適切な検出条件を決定する必要がある。癌化肺癌細胞株とリンパ球を用いたテロメラーゼ活性の検出感度の検討も含めて今後も解析を進める予定である。 このようにテロメラーゼ活性は肺癌の存在を示唆する有用なマーカーではあるが,微量癌細胞の検出系の確立には今後さらなる検討が必要と考えられる。
|