Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
アンドロゲン非依存性前立腺癌の自己増殖調節機構を解明するため、前立腺癌細胞株の培養上清中に高濃度に存在するTGF-βとM-CSFに注目した。前立腺癌細胞株であるPC3、DU145、JCA-1、LNCapを使用した。培養上清中のサイトカインをELISA法で測定したところ、TGF-β、M-CSFともにPC-3、DU-145、JCA-1においてコントロール群と比べ有意に高い濃度であった。 TGF-βに関して,MTT assayでは,TGF-βを加えた群でコントロール群と比較してPC3、DU145、JCA-1に軽度の増殖抑制効果があった。抗TGF-β抗体を1,10,100ng/mlの濃度で加えるとPC3では5.5%、7.3%、7.7%、DU145では4.6%、10.7%、8.9%と軽度増殖に働く傾向にあった。TGF-βは前立腺癌に関してむしろ増殖抑制に関与していると思われた。またM-CSFに関して,M-CSFの付加によりPC3、DU145、JCA-1において軽度の増殖効果,抗M-CSF抗体の付加により前述の3つの細胞株に軽度の増殖抑制傾向が認められた。LNCapでは有意な効果はなかった。 FITC-BrdUおよびPIの二重染色によるフローサイトメトリーによりS期に移行する細胞の割合を測定したが、各細胞株においてTGF-βおよび抗TGF-β抗体,M-CSFおよび抗M-CSF抗体付加による有意な変化は認めなかった。またM-CSFに関しては,細胞増殖初期に及ぼす微妙な変化をみるためにコロニー形成率をみた。10%FCSの条件で14日間後にコロニーをカウントした。PC3では0.6%、DU145では8.9%、JCA-1では10.3%とM-CSF付加群にややコロニー形成率が上昇したが有意差はなかった。LNCapは14日目でコロニー形成率は5%以下と低く判定不能であった。これまでの実験では、TGF-βはLNCap以外の前立腺癌細胞株に対して細胞増殖に抑制的に働き、またM-CSFに関しては軽度の増殖刺激があると予想されるが、恐らく他のサイトカインとのネットワークの一部をなすのみで、現在までに報告があるIL-6のような強い作用ではないと考えられた。
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