Research Abstract |
本研究は,がん細胞に対する選択毒性が極めて高い抗がん剤開発のための戦略を確立することを最終目標として,1)キャリアーによるがん細胞への選択的送達,2)細胞内動態を制御による核への濃縮,3)がん細胞での特異的転写阻害,という3つの方法を併用し、がん細胞への「選択毒性の相乗効果」により増殖抑制を試みた.その結果,(1)トランスフェリン(Tf)をリガンドとした癌細胞標的化リポソームによる抗腫瘍効果 : 血中滞留性リポソームのPEGの先端にTfを結合させて,がん細胞を選択的に認識する標的化リポソームを調製した.このリポソームにドキソルビシンを封入し,Tf-receptorを介して細胞内へ抗癌剤の導入させた.その結果,ドキソルビシンに耐性である癌細胞に対しても有効となり,Tf-receptorを標的とした細胞内送達の有用性を示すことができた.(2)転写阻書リガンドの合成とin vitro系におけるTFIIHの転写因子阻害実験 : RNAポリメラーゼIIの最大サブユニットRPB1(分子量約200kDa)のC末端にあるCTD(C-Terminal Domain)とよばれる繰り返し配列に対するペプチドを合成した.精製した五つの基本転写因子とRNAポリメラーゼIIからなる再構築系にて転写阻害活性について検討したところ,IC50は約1uMであり,さらに特異性の高いリガンドについて今後更なる検討を行う.
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