シアル酸を介さない新しいインフルエンザウイルスの感染機構の解明と感染制御
Project/Area Number |
10878100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Structural biochemistry
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鈴木 康夫 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (00046278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 隆 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (20240947)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | インフルエンザウイルス / ヘマグルチニン / シアル酸 / レセプター / スルファチド / 糖鎖 / インフルエンザウィルス |
Research Abstract |
昨年度の研究で、インフルエンザウイルスに結合出来るシアル酸を含まない糖鎖を多くの糖鎖ライブラリーから調べた結果、硫酸基を持つスルファチド、中性糖脂質であるガラクトシルセラミドがヒト、トリ、ブタ、ウマなどの動物インフルエンザウイルスと結合できることを明らかにした。 本年度は、スルファチドがインフルエンザウイルスのどのスパイクタンパク質と結合しているのかさらに、スパイクタンパク質分子のどの領域に結合しているのかを検討した。 インフルエンザウイルスヘマグルチニン分子のみを人工的に発現した細胞を作成した。これをスルファチド処理してスルファチド結合部位をブロックしてからニワトリ赤血球を吸着させた。その結果、未処理赤血球の吸着は阻害されないのに対して赤血球をシアリダーゼ処理後スルファチドを膜に結合させたスルファチド再構成赤血球の吸着は完全に阻害された。この結果から、先ず、スルファチドは、ウイルススパイクタンパク質であるヘマグルチニン分子と結合すること、その結合領域は本来のシアル酸結合部位とは異なることが示された。また、スルファチドとより強く結合できる変異株の分離にも成功した。反対に、スルファチドとの結合性が弱い変異ウイルス株の分離は困難であったことから、インフルエンザウイルスのスルファチドへの結合性の性質は、自然界でも保持されやすいことが示唆された。今後、スルファチドを特異的に結合するヘマグルチニン分子内領域を、X腺結晶解析により明らかにする予定である。現在、スルファチドへの結合性が増強された変異ウイルスヘマグルチニンの遺伝子解析が進行中であり、その置換アミノ酸の同定から、スルファチド結合性の機構解明が達成できることが期待される。 以上、本研究は、インフルエンザウイルスヘマグルチニンが、シアル酸含有糖鎖のみならず、第2のレセプターとも考えられる硫酸化糖脂質(スルファチドなど)や中性糖脂質にも結合出来、その結合領域はシアロ糖鎖とは異なることを分子レベルで明らかにした。しかも、この性質はヒトと以外、トリ、ブタ、ウマウイルスも持っており、ウイルスの宿主間伝播を探る上で極めて重要な知見を与えた。また、これらの物質は、ウイルスシアリダーゼに抵抗性であり、これを用いる抗インフルエンザ薬開発の基盤が達成された。
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Report
(2 results)
Research Products
(27 results)