光照射によるPy-Imポリアミド-CBIコンジュゲート体の選択的な活性化
Project/Area Number |
10F00043
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Chemistry related to living body
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 弘 京都大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARK Soyoung 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | DNA / ハイブリッド触媒 / 不斉合成 / Friedel-Craftsアルキル化反応 / Py-Imポリアミド / アルキル化 / 光反応 |
Research Abstract |
効率的な不斉触媒反応の開発は天然物や医薬品、農薬の合成のため現代有機化学の重要な分野である。そのため遷移金属を用いる不斉触媒反応が有用な戦略として受け入れられ幅広く研究されているが、レアメタルの不足、空気や水に敏感な反応条件などを考えると、より経済的また環境的な反応を開発する必要がある。一つの代案としてchiralityを持つ生体分子と金属触媒から作られる立体選択的なハイブリッド触媒システムが光学活性な化合物の合成のため研究されている。キラル構造の蛋白質やRNAは生体分子として触媒反応によく用いられるが、これらと比べDNAをchiralityのsourceとして用いる反応は例が少ない。最近、Feringaらによって銅触媒による様々なLewis酸触媒反応でDNAが高いエナンチオ選択性を与えるとともに反応の速度も促進することが報告されており、DNAのhelical chiralityを不斉触媒反応に応用する研究が注目を浴びている。本研究室では有機合成、計算化学、分子生物学的手法を用いて核酸の生物有機化学を研究している。申請者はこれまで研究室で蓄積してきた核酸の構造と機能に関する研究結果を基盤として、DNAハイブリッド触媒を用いた新規不斉反応の開発とともに反応メカニズムを明らかにすることを目指している。この研究は、A,B,Z型DNAの特異的なchiralityと生成物の立体選択性の関係と、様々な塩基配列や長さを持ったDNAにより作られる不斉環境が化学反応に与える影響を明らかにする興味深い分野である。また、DNAハイブリッド触媒システムは化学的に安定な水溶性DNAを用いうことから水で反応を行う利点があり、比較的安価で市販されているバイオポリマーst-DNAを用いることでより経済的に光学活性化合物を合成することができる。今回申請者は、DNAのらせん構造に由来する不斉が化学反応にどのように影響を与えるかについて計算科学で検討するためモデル反応として分子内反応に注目し、「DNAハイブリッド触媒を用いた分子内Friedel-Craftsアルキル化反応」を開発した。具体的には活性を持つ銅配位子錯体を組み込んだDNAハイブリッド触媒を用いて水中で分子内Friedel-Craftsアルキル化反応を行い、多環インドール類をエナンチオ選択的に合成することに成功した。また、生成物の立体選択性はDNAのらせん不斉に由来し、用いる配位子に依存することも見出した。本反応の生成物であるインドール誘導体は変換反応を行うことによって様々な生理活性物質の合成への応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回申請者は、「DNAハイブリッド触媒を用いた分子内Friedel-Craftsアルキル化反応」を開発し、水中で多環インドール類をエナンチオ選択的に合成することに成功した。また、DNAのらせん構造に由来する不斉が化学反応にどのように影響を与えるかについて計算化学で検討した結果、本反応では(S)エナンチオマーが優先になることを示す結果が得られた。さらに、本反応で実際得られた生成物は文献により(S)エナンチオマーであることが分かり、計算化学の結果と実験結果が一致することも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、A,B,Z型DNAの特異的な三次元構造により作られる不斉環境が生成物の立体選択性にどのように影響を与えるかに関して明らかにすることを目指して研究を行う。また、化学的に安定な水溶性DNAを用いることから水で反応を行う利点があることを生かし、DNAハイブリッド触媒を用いた新規不斉合成を開発する。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)