Project/Area Number |
10F00076
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Architectural history/design
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西澤 泰彦 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Yunlian 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 外国人特別研究員
陳 雲蓮 名古屋大学, 環境学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 上海 / 日本人居住地 / 英米系不動産会社 / 上海日経企業 / 工部局衛生局 / イギリス商社 / 不動産経営 / 住宅開発 / 北四川路 / 日本人地区 / 住宅改造 / 上海外国租界 / 中国人県城 |
Research Abstract |
2011年度は、日本外務省や上海日本総領事館による日本人の利権獲得、居住環境の向上について、上海での現地調査、イギリスと日本での文献調査の結果、下記のような成果が得られた。 1890年代から、日本人による上海進出はすでに英米人より50年間も遅れたため、多くの日本人は公式な外国人共同租界に居住出来ず、租界外の北四川路周辺に集住するようになった。しかし、北四川路日本人住宅地は、公式な外国租界のように路面電車、上下水、電気、治安維持といった公共サービス、及び建築規則、衛生基準の適応方法が整っていなかった。そのために、日本外務省と上海日本領事館は、上海にいた外国租界の英米人官僚と常に交渉していた。その交渉過程に関する英語文書の解読から、日本外務省、上海日本領事館が日本人住民のバックアップとして、官民一体で上海日本人住宅地の権利を確保していた実態がわかった。 一方、上海日系企業の場合は、1870年代から上海に進出した三井物産が、租界外の浦東日本海軍の軍用地を借用し、自らの工場地と社宅地を建設していた。しかし、後発の内外綿株式会社は、英米人主導の社会に入るために、英米人と交渉せざるを得なかったのである。同社は、英国人地主から、租界内にあった生産や流通に便利な小沙渡地区の土地を購入し、直接出資して英米人官僚と協力しながら、道路、電気、上下水の敷設を行い、上海における大規模な紡績工場地を建設した。 上記のように形成された上海日本人住宅地と工場地は、共同租界のように諸外国と中国政府との間の正式な協定に基づき、設定されたものではなく、共同租界の内部と外部に分散して立地していたことが判明した。2010年度の研究成果と合わせ、上海日本人住宅地の形成は、英米人により建設され供給されたことを第一歩とし、日本外務省と日本人が自らの生活習慣にあった居住形態、各種公共権利を確保したことがその第二歩であったことを明らかにした。
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