Project/Area Number |
10F00739
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
各国文学・文学論
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河野 貴美子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LUO ChunLan 早稲田大学, 文学学術院, 外国人特別研究員
LUO C.L. 早稲田大学, 文学学術院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 陶淵明 / 漢文学 / 受容 / 比較 / 日本漢詩 / 隠逸文化 / 美学 |
Research Abstract |
本研究は、日本における陶淵明受容の諸相を考察し、日本文化史上に陶淵明が果たした役割を整理するとともに、中国と日本との文化交流の意義をより一層明らかにすることを目指したものである。 研究計画二年目となる本年度は、前年度の研究や資料収集の基礎の上に立ち、主として早稲田大学図書館において、学術関係データベース等の情報にも拠りつつ、陶淵明の創作から影響を受けた日本の漢文学を中心とする文学作品について、計画的、かつ全面的な調査を行った。具体的には、奈良期の『懐風藻』、平安期の『菅家文草』『本朝文粋』『和漢朗詠集』、五山文学の虎関師錬、江戸期の与謝蕪村、上田秋成、近代の夏目漱石等の作品について、全面的に詳しく検討整理した。羅春蘭は、それら日本の文学作品について、陶淵明作品との比較、また、日本漢文学史全体の枠組みにおける意義というそれぞれの視野から考察を行った。その方法は、美学、歴史学、社会学等に及ぶ多角的な観点から、日本漢文学作家に対する陶淵明の影響とその受容の様相を辿るものである。 また、羅春蘭と河野貴美子の両名は、早稲田大学で定期的に開かれている渤海詩研究会等の漢文学に関わる研究会に参加し、中日文化交流や漢詩文創作に関する理解を深め、現在の研究動向についても把握するよう務めた。また両名は、中日文化・文学交流に関する研究成果を学会発表や論文を通じて行った。 本研究は、日本文化史を主軸として、美学受容の理論をも絡ませながら、陶淵明の日本における受容の軌跡を明らかにするものである。異なる文化背景のもと、陶淵明はいかに読まれたのか、という読者の反応を出発点とし、受容する側の自主性や自律性を重視しつつ、陶淵明の影響、「慕陶」現象の実態を日本文化史上に正しく位置づけようとした本研究は、従来の中日文化交流研究をさらに一歩進める意義を有するものといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
図書館等における資料調査によって、日本における陶淵明受容に関する文学作品資料や、関連先行研究資料を収集し、整理検討を行うという、当初計画していた基本的な作業を遂行するとともに、それによって得られた知見を学会発表や論文発表によって公にできた。なお羅春蘭は、本研究の総合的成果として「日本漢詩対陶淵明接受的歴時性考察」という論文を脱稿し、2012年刊行の『江西社会科学』において発表の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
陶淵明文学の日本における受容について、日本の芸術あるいは民族等、社会文化の各方面における現象をさらに深く検討分析し、引き続き論文としてまとめていくことが、今後の課題の一である。 今回、日本において資料収集や、研究会・学会活動を通しての学術交流が行えたのは非常に有意義であった。今後も情報通信機器を利用するなどして、国を超えた研究者間の学術交流を継続していけるよう方策を探りたい。
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