Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
近年,有機半導体材料を基盤とする有機エレクトロニクスの研究開発が盛んに行われている。有機半導体材料がデバイスのフレキシブル化を可能とすることが,一つの理由である。フレキシブル化はデバイスのユビキタス化,ウエアラブル化など,ユニークな展開を可能とする共に,デバイス生産の超低コスト化という点でも重要である。例えば,太陽電池などがプラスチックフィルム上にロール・トゥ・ロールプロセスで連続的に大量に作製できるようになれば,再生可能エネルギーのコスト競争力は飛躍的に向上する。 本研究では,有機デバイスに利用可能な,光透過性と可撓性をもつポリマー電極材料の開発を行っている。これまでに,市販されている導電性高分子材料(PEDOT:PSS)分散液に高沸点極性溶剤を添加すること等による電導性改善を検討してきたが,今年度は,分散液を濃縮することで,より高濃度で高沸点溶媒を添加することを検討した。 加熱によってPEDOT:PSSの分散媒である水を蒸発させ,組成液の重量を30%減少させたものを以後,PH30とよぶ(原液をPHとよぶ)。PHでは,成膜性の観点から高沸点溶剤(DMSO)の添加は5%が限界であったが,濃縮したPH30では,最大10%の添加が可能であった。また,PH30では,形成したポリマー膜のグレインサイズ拡大していることも原子間力顕微鏡観察から明らかになった。DMSOを添加したPH30にカーボンナノチューブ(SWCNT)を添加することで,最大,500S/cmに達する電導率を得ることに成功した。最適化したPH30を基盤とするPEDOT:PSS薄膜を電極として用いた有機EL素子は,ITOを電極として用いた有機EL素子と同等以上の特性しめした。 また,PH30薄膜では,表面の水接触角が大きく表面の親水性が低下していた。PEDOT:PSS薄膜表面には余剰のPSSが偏析し,膜表面に電気抵抗の高い層が形成されることが知られている。膜表面の親水性が低下すると言うことは,PSS表面層が減少したことを意味している。
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