Project/Area Number |
10J00298
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Chemistry related to living body
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柏崎 玄伍 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ポリアミド / DNA配列の認識 / DNAのアルキル化 / ゲル電気泳動 / 細胞毒性 / マイクロアレイ / ヌードマウス / 配列特異的 / DNA / アルキル化 / 動物実験 |
Research Abstract |
ネトロプシンやディスタマイシンといった抗生物質はDNAに結合する。これらはN-メチルピロールという化合物のユニットを有しており、このユニットはアデニン、チミン、シトシンといった核酸塩基との間で水素結合を形成してそれらを認識する。これを参考にしながらグアニンを認識する別のユニットであるN-メチルイミダゾールを組み込んだ化合物、総称してN-メチルピロール-N-メチルイミダゾール(PI)ポリアミドが開発された。これは人工分子であるにもかかわらずDNAに対するその結合能並びに配列認識能は転写因子に匹敵するという興味深い性質を有する。PIポリアミドをDNAアルキル化剤と結合させることでDNAの配列を認識しながら狙った配列をアルキル化するコンジュゲートが合成される。 今年度はより生物学的な実験手法に重点を置いて研究を進めた。まずは認識するDNAの配列が異なる4つのコンジュゲートを合成した。そしてゲル電気泳動によりコンジュゲートの配列特異性を評価し、細胞毒性アッセイにより既存の抗がん剤に匹敵する高い毒性を確認した。およそ2万5千のヒトの全遺伝子に対しするDNAマイクロアレイ実験による遺伝子発現パターンの解析からは、発現減少側の遺伝子はPIポリアミド配列の差を反映しており、発現上昇側の遺伝子は共通のアルキル化剤部位の影響を受けていることが示唆された。続く抗腫瘍効果の評価ではヌードマウスにヒトのがん細胞を移植し、アルキル化剤PIポリアミドコンジュゲートのリポソーム溶液を調製し静脈投与を行った。その結果、わずかではあるものの、あるコンジュゲートと細胞株の組み合わせにおいては抗腫瘍効果が現れることを確認した。 同一の化合物群を用いて化学から生物までにわたる一連の実験を行った論文はこれまでになく、今後のアルキル化剤PIポリアミドコンジュゲートの応用に際して有用な知見となるものである。
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