Project/Area Number |
10J00343
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(実験)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐古 崇志 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 宇宙線 / 加速機構 / 超新星残骸 / 異方性 / 高エネルギーガンマ線 / 空気シャワーアレイ |
Research Abstract |
宇宙線の異方性に関する研究成果を、国際会議39th COSPAR Scientific Assemblyにて口頭発表した。 米国のミラグロ実験が6TeVにおいて報告した、2000年から2007年にわたるloss-cone(赤経150°から240°に広がる宇宙線強度欠損の領域)の振幅の増加を、チベット空気シャワーアレイのデータを用いて検証し、論文として発表した("Is the large-scale sidereal anisotropy of the galactic cosmic-rayintensity really instable at TeV energies?"Astroparticle Physics,36(2012)237-241)。4.4TeV、6.2TeV、12TeVのエネルギーにおいて、該当する期間には10ss-cone振幅は安定しているという結果を得た。この結果は6σ以上の信頼度でミラグロ実験の結果と矛盾するものであった。ミラグロ実験はloss-cone振幅の増加を太陽活動によるものかもしれないと主張しているが、はるかに太陽活動の影響を受けやすいsub-TeV領域の観測でもloss-cone振幅の有意な増加は見られていない事が松代地下ミューオン観測装置によって示されている。プロトタイプMDのデータ解析を行い、上記のシミュレーションが実験データと良く一致していることを確認した。またかに星雲からのガンマ線フラックスに対して100TeV-200TeVで最も厳しい上限値を得た。2013年中にこの結果を論文として投稿予定である。1997年から2009年までの期間においてチベット空気シャワーアレイを用いて3TeV領域で観測された太陽の影について、日本物理学会2012年秋季大会およびSTE研究集会にて報告した。影の深さと影中心の太陽視位置からのずれは、太陽活動に依存して変化することから、太陽の影の連続観測から太陽コロナ磁場構造についての知見を得ることができる。これまでチベット実験では10TeVで太陽の影の観測を行ってきた。その結果、CSSS(Current Sheet Source Surface)モデルと呼ばれる太陽コロナ磁場構造モデルが測定結果を良く再現することが分かっている。 3TeVで得られた結果もCSSSモデルで再現されるか調べることが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の大部分の期間、チベット自治区の治安悪化のため外国人の入境が禁止されたため。また、外国人空気シャワーアレイの位置するチベット羊八井高原(標高4300m)の環境は日本とは全く異なるものであり、大面積の地下水槽の完成に予想以上の時間と労力を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
約4500m^2のミューオン観測装置が平成25年中に稼働開始予定である。データ取得および装置のメンテナンスと並行して新たなデータ解析手法を確立していく。また、実験データから天体のフラックスなどを導出する際には大量の空気シャワーシミュレーションが必要である。空気シャワーアレイの検出器シミュレーションは既に確立されているが、ミューオン観測装置の検出器シミュレーションは高速化の余地があるので、必要に応じてプログラムコードの改良も行う予定である。
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