Project/Area Number |
10J00705
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Experimental psychology
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐野 一広 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | エストロゲン / エストロゲン受容体アルファ / RNAi / 内側視索前野 / 内側扁桃体 / 視床下部腹内側核 / 攻撃行動 / 性行動 / ERα / 雄マウス / 神経回路 / RNAi法 |
Research Abstract |
ステロイドホルモンの一種であるエストロゲンが雄マウスの脳内に形成されている雄性行動の発現を司る神経回路の各部位で部位特異的にどのような役割を果たしているのかを解明することを目的として研究を行った。本研究ではエストロゲンのエストロゲン受容体アルファ(ERα)を介した作用に着目し、アデノ随伴ウイルスベクターを利用したRNAi法を用いて神経回路上の脳部位でERαの発現を部位特異的に抑制することにより雄マウスの攻撃行動や性行動にどのような変化が現れるのかを調べた。22年度には内側視索前野に発現するERαは雄マウスの性行動の発現には関与しているものの攻撃行動の発現には関与していないということを明らかにしたが本年度はさらに内側扁桃体、視床下部腹内側核においても同様の実験を行った。その結果、内側扁桃体でERαの発現を抑制しても攻撃行動や性行動の減少、もしくは増加は認められなかった。しかし攻撃行動テストにおいて、内側扁桃体のERαを抑制されたマウスでは雄の多個体に対して攻撃中に頻繁に雄的な性行動を示すという興味深い現象が確認された。このことから、内側扁桃体に発現するERαは雄マウスの攻撃行動、性行動の発現には直接は関与していないものの多個体の性別認識、及びそれに伴う的確な行動の発現を微調整することには関与しているのではないかと結論づけた。また視床下部腹内側核においてはERαを抑制すると攻撃行動、性行動ともに減少するという結果が得られた。このことから視床下部腹内側核に発現するERαは雄マウスの攻撃行動、性行動の両方の発現に関与していることが明らかになった。さらにこれらの結果を比較検討することによりエストロゲンのERαを介した作用が脳の部位によって異なることが示唆された。 さらに内側視索前野で性行動の発現を制御するにあたって、ERαが転写因子としてその下流でどのような物質を制御しているのかを解剖学的にも検証した。その結果、内側視索前野でのERαが雄マウスの性行動の発現を促進する際にbNOSの発現を調節している可能性が高いことをつきとめた。
|