Project/Area Number |
10J00855
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
畑山 要介 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Keywords | 倫理的消費 / 消費主義 / フェアトレード / ネオリベラリズム / ソーシャル・マーケティング / 市民運動 / 消費社会論 |
Research Abstract |
本年度は、研究最終年度として、過去の分析結果をまとめてそれを理論的に総合するとともに、倫理的消費が現代社会のなかにどのように位置づけられるかを分析・考察した。昨年度はフェアトレード・ラベルの機能とフェアトレード商品購入の規定要因を経験的かつ理論的に考察することを通じて、今日の倫理的消費社会を「社会規範ではなく市場原理によって倫理的目標を達成する社会」として理解可能であることを明らかにしたが、本年度におこなったのはそうした社会モデルがポスト福祉国家的な社会編成のなかにおける公共性のひとつのあり方を指示するものであることを明らかにする試みであった。この試みは、消費主義と倫理的消費の関係への問いを次のような問題として再構成するということにほかならない。すなわち、「消費者が各々の私的な関心に動機づけられているにもかかわらず、その消費を通じて倫理的な社会が構築されるというあり方に対して、いかなる説明を与えることができるのか」という問題構成への展開である。この問いに対して(1)自生的秩序論の枠組みで倫理的消費を理解するということ(2)倫理的消費をポスト福祉国家的社会編成という今日的文脈のなかで位置づけるということを試みた。 分析のなかで明らかになったのは以下の事柄である。第1に倫理的消費を「諸個人の関心」という潜在的活力を原動力とする倫理的社会の形成要素として理解・説明することが可能だということ、第2に倫理的消費社会を駆動させるような諸装置が諸個人の潜在的活力を最大限に活用しようとする性格によって特徴づけられるということである。これらの点から、本研究では、倫理的消費社会をポスト福祉国家的社会における新たな公共性のあり方の一端を垣間見せるものであると結論付けた。倫理的な経済文化の維持・形成が国家によって担われるものだとされた福祉国家的社会から、それらが企業や消費者や自由な選択によって担われるものとされるポスト福祉国家的社会への移行という極めて今日的な位相において、「消費主義的な倫理的消費」という新たな現象に対する理解可能性を与えたのが本年度の研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、「消費主義と倫理的消費のパラドクス」をいかに理解することができるかという点にあったが、本年度においては、前年度の実証的成果を用いて現代社会の今日的な位相のなかにこの問題を位置付けることによって、当初において問題とされた以上のことが本研究の課題に伏在していたという点が明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を通じて、今日的な倫理的経済を構成する新たな潮流が存在することが浮かび上がってきた。本研究はあくまでも消費社会研究という限定的範疇のなかで実施されたわけではあるが、その研究成果を顧みるならば倫理的な生産・流通・消費という経済的なメカニズム全体の新たなパラダイム・シフトの位相のなかに本研究の問題関心は位置付けられることが明らかとなった。今後においては、消費だけでなく倫理的生産、倫理的取引について詳細な分析を展開していく必要があるだろう。現在、報告者は消費者調査のみではなく、フェアトレード認証を取得する企業に対しても調査を実施しており、本研究課題に続く新たな研究展開の準備をおこなっている。
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