脂質膜におけるナノドメインの時空間パターン:細胞への物理的アプローチ
Project/Area Number |
10J00940
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
生物物理・化学物理
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栁澤 実穂 (2011) Kyoto University, 特別研究員(PD)
柳澤 実穂 (2010) 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 非平衡物理学 / ソフトマター / 生物物理学 / モデル生体膜 / ベシクル / 生体高分子 / 国際研究者交流 / フランス |
Research Abstract |
主に脂質からなる細胞膜には、機能を担うタンパク質が埋め込まれている。細胞膜は、それらが効率よく発現するための足場として、特定の脂質が会合したナノドメインを形成する。こうしたドメインの形成機構を明らかにするため、細胞膜モデルとしてベシクルが用いられてきたが、細胞の持つナノドメインは未だ再現されていない。そこで私は、ベシクルに細胞のもつ特徴を徐々に導入することで、ナノドメインを実現させることを目的として研究を行ってきた。 研究計画初年度である今年は、これまでの脂質のみからなるベシクルでの相分離や膜変形現象(Yanagisawa, et al., 2010 Phys.Rev.E)を発展させ、より実際の細胞に大きく近づけた。例えば、遺伝情報を持つDNAを相分離ベシクルに加えると、DNAが負に帯電した膜へ特異的に吸着し、それに伴って構造転移を引き起こすことを見出した(Kato et al., 2010 J.Phys.Chem.Lett.)。またタンパク質であるイオンチャネルを膜内に再構築する上で、その挿入方向を制御する新規手法を構築した(Yanagisawa, et al., in revision)。さらにごく最近、膜タンパク質モデルとして高分子結合型脂質を膜内に導入することによって、本研究の目的である、ナノドメインを安定して形成させることに成功し、現在論文準備中である。これは、未解明なままとなっている「細胞がナノドメインを安定化させるメカニズム」を理解する上で、大変重要な結果だと言える。来年度は、上記DNAやイオンチャネルなど実際の生体高分子を含む系と、それらのモデルである高分子複合系を比較することで、細胞がメゾスケールのドメインをいかに制御しているのか、物理的に明らかにしたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)